第39話ハロルド視点

「ハロルド様が小作人に?」


「はい、兄には人を雇うお金はありませんから、自分で農業をしてもらいます。勿論、見張りはつけます」


「どうする?ラケル」


「そうですね。いいのではないですか。領民の苦労もわかるでしょうし、お金を作ることは大変だと実感するんじゃないですか?」




えっ?俺が農民になっていいのか?


誰も止めてくれないぞ。


父上がずっと睨み付けているから、俺は何も言えないのに!




「では、ハロルドの処遇はそちらに任せよう」


「寛大なお心に感謝致します。兄ハロルドは朝一で領地に送り、到着次第、小作人として仕事をさせます。私と父上はクロード様とラケル様に明日また謝罪に伺います」


「では、夜に来てくれ。日中は俺は仕事に行くから」


「わかりました。明日の夜に伺わせて頂きます」




えっ!朝一で送る?


まるで護送するような言い方だ!?




「クロード殿、お見送りを…」


「ハーヴィ伯爵…お疲れのようですので、ここで大丈夫ですよ。お体を休めて下さい。騎士達もこれで引き下げます」


「なんと申していいか…」


「弟君のアーヴィンに感謝をして下さい。利発な方で良かった」




何故だ!?


何故そこだけ空気が違うんだ!


そこだけ穏やかだぞ!




そして、またラケルの肩に手を回してクロード…様は帰って行った。


邸に来ていた騎士達を引き連れて…。




そして、俺はあまり睡眠が取れてないまま朝一に領地へと連れて行かれた。






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