第34話ハロルド視点
「ハロルド!お前は何をやっていたんだ!?ラケルに非は全くないではないか!」
父上はずっと怒り、怒鳴っていた。
「もう婚約を戻すことは出来ん!既にラケルはアラステア公爵家の嫡男と婚約を結んでいたのだ!何が浮気だ!婚約破棄の書類さえなければ、戻す可能性もあったが、もう無理だ!お前の勝手のせいで…!」
どうしてこんなことになったんだ?
ラケルは浮気じゃなかった。
婚約破棄し、クロードとの仲を見せつけメイベルを傷つけたのはなんだったんだ?
嫉妬していたんじゃなかったのか?
…そもそも、嫉妬してると言ったか?
言ったのはメイベルだ。
メイベルに騙されたのか!?
「…出て行け」
「は?」
「貴様は勘当だ!ラケルが嫁に来ないなら、爵位も領地もお前には渡せん!」
「そんな!?」
おかしいぞ!?ラケルと結婚しないなら、父上の跡が継げないなんて!?
「しかし、跡取りは俺です!」
「私の後継者にはアーヴィンがいる。アーヴィン、お前が今から私の後継者だ!」
「はぁ…」
「そんなこと…!?」
父上はふざけた冗談は言わない。
本気だ。
不味いぞ!
ラケルと結婚出来ないなら、俺は爵位も領地も何もないなんて!?
「父上、少しお待ち下さい。兄上をこのまま放置は少々困ります。何か問題でも起こしたら、伯爵家の名誉に関わりますよ」
「ならどうする…?跡取りはアーヴィンに決めたのだ。お前が決めろ!」
そうですね…。とアーヴィンは考え始めた。
何で弟のアーヴィンが俺の処遇を決めるんだ!?
本当に俺はこの家から出されるのか!?
「領地の小作人として雇うのはどうでしょうか?うちの収入にもなりますし、それプラス、メイベル様へのプレゼント代を毎月返して頂くというのはいかがですか?かなり年数はかかりますが…」
「俺に農民の仕事をしろというのか!?」
「小作人がいてこその領地ですよ。大事な領民です」
「くっ…!」
ふざけるな!
父上がいなかったら殴ってやるのに!
「領地なら目も届くか…。見張りはつけるぞ」
「腕っぷしの強いのを探しましょう」
どうしてだ!?
俺が小作人になることがあっという間に決まってしまったぞ!
このままでは不味いぞ!?
ラケルだ!
ラケルが俺と結婚すれば問題ないはずなんだ!
待ってろ!ラケル!
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