サラリーマン、女子高生の保護者になりまして…
@wakatsuki-makoto
第1話
「どうしてお前が…」
目の前には棺の中で眠りについている親友、
俺、
航平とは高校時代からの付き合いで卒業後も度々連絡を取り、休日に飯を食いに行ったり遊びに行ったりするほど仲が良かった。
数年前に病気で両親を亡くしているあいつは
『まだ中学生の妹の為にも、俺が親父や母さんの分まで頑張らないといけないんだ』
なんてことを言っていた。
そんな親友が先日、交通事故で亡くなった。
原因は過労による居眠り運転らしい。
「なんでそこまで無理して…死んじまったら元も子もないだろうが…親友なんだから少しは頼ってくれたって良かったじゃないか…」
自然とそんな愚痴が溢れていた。
「あの…」
後ろから声が聞こえた。
後ろを見ると50歳前半くらいの女性の姿があった。
その右手には何やら手紙のようなものを持っている。
隣にはその女性の子供だろうか?制服を着た女の子が立っていた。
「鈴木京也さん…ですよね?」
驚いた。何故俺の名前を知っているのだろうか?
「航平くんの親戚の者です。実は航平くんからの遺言があるんですけど…」
そう言うと右手に持っていた手紙を俺に差し出してくる。
よく見ると手紙の封にはいつの間に撮ったのか俺の顔写真が貼られていて“親友の鈴木京也に渡してください”と書かれている。
なるほどそれでか、用意周到だなあいつは…。
俺はそれを受け取り読んでみる。
…なになに?
『京也へ
多分これを読んでるってことは俺に何かあって
死んじまってるんだろう。
そんなわけで死んじまった俺からの最初で最後
の頼みだ。
俺には歳の離れた妹がいるって前に話したが、
その妹の
…は?なんだこれ?
あいつの妹のことを俺に任せる?
さらにその先を読むと何かあったときに使える金は家のどこに閉まってあるとか遺産の話など色々書かれてある。
「あの…手紙の内容は…?」
航平の親戚が心配そうに見ている。
それほど俺は驚きの事態で深刻な顔になっていたのだろう。
「どうも航平のやつ、俺にあいつの妹の保護者代わりになってくれっていうお願いらしくて…」
「えっ…?」
どうやら驚きのあまり航平の親戚の隣にいた女の子が声を出してしまったらしい…まさかな?
「…もしかして君が琴葉ちゃん?」
「そうですけど…」
そんな風にして俺のごく普通のサラリーマンとしての生活は突如終わりを迎えたのである。
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