第67話 (2011年5月2日)最後の体育祭

「疲れるけど楽しいね!」

「ね〜!」

「衣装もどんな風になるのか楽しみだねー!」


「高校生活最後の大きなイベントだしね、思いっきりやんないと」


3年生は体育祭までの期間、毎日暗くなるまで練習がある。

今までは、放課後まで残ることはなかったのだが、今年は応援団やチアの練習、

それに、応援席の後ろに飾る絵やダンスの練習などなど、やることがたくさんある。


愛美は遅くまで残るわけにはいかないので、妹と一緒に先に帰っている。

一緒にいる時間が減るのは痛いが、体育祭期間だけだし我慢だ。



「演舞やってる浩介もかっこいいねー!」

準備期間中のある日聖奈と2人で買い出しに出かけている。


「聖奈のダンスも可愛いよ、チアにして正解だったね」


「えへへ、ありがとー!でも振り付け覚えるの大変だよー!」


「大丈夫、聖奈ならできるよ!」


「そうかなー?」


「聖奈地頭はいいからね!すぐ覚えるよ!」

別にテストの点数が少し悪くて、勉強がちょっと苦手で、あとちょっと天然が入っているだけで、頭が悪いということもない。多分。


「そうだね!あ、そういえばパパとママに浩介がいることも伝えたよー!」


「一緒に住む話?いつ話したの?」


「そー!春休み中だけど、言うの忘れてたー!渚がうちに来てね、説得してくれたんだー!」


「すごいな、さすが渚だね」

やっぱりちょっと記憶力が心配になる。しかしなんて言って説得したんだろうか。


「ねー!聖奈は伝えなくても大丈夫かなーって思ってたんだけどねー!」


「いやそれはまずいでしょ」

直前で絶対にバレるし。引越し先に急に男が出てきたらびっくりだろう。


「そうかなー?まあでも、渚が手伝ってくれてよかったー!」


「まあこれで問題は大体解決したね」

あとは受験に失敗しなければいい。


「あとは聖奈が合格すればいいだけだねー!」


「今の調子で頑張れれば大丈夫じゃないかな?」


最悪受からなくても別に問題はないけどな。

お金に困るわけでもないし、仕事を探す必要もないしな。

頑張らなくなったら困るから言わないけど。


「浩介にそう言われるなら安心だねー!」


「お、油断しないようにね?頑張ればの話だから」


「分かってるよー!ところでさ、ちょっと行きたいところがあるんだけど、聖奈お盆か年末に有明行きたいなー!」

同人誌の即売会か、俺も一度は行ってみたい。


「受験が終わったあとな?ご褒美に連れてくから」


「はーい」

そこで少し残念そうな顔をしないでほしい。油断しないようにって言ったばかりなのに・・・。


「いっぱい買い物できたしそろそろ戻ろっかー!」

日も暮れた時間に、学校に残ってみんなで作業するのも青春って感じがしていいな。





体育祭当日


美咲達チアの衣装がすごく可愛い。

みんなポニーテールにしていて、ミニスカートでお腹や肩が見えてるのもポイントが高い。

杏奈達応援団の女子も法被に晒し、袴姿でカッコいい。

上半身に関していえば、法被で隠れてはいるものの露出度はこっちの方が高い。


お昼ご飯の後、応援合戦が始まる。まずは、俺たちの演舞だ。


「浩介、頑張ろうね」


「うん、杏奈もね!」


クラスメイトが鳴らす太鼓の音に合わせて体を動かす。

隣に杏奈が必死に体を動かしている姿が見える。

スタイルが良いと演舞に映えるな、真剣な顔も美しい。


練習中は長いと思っていた演舞も終わってみると一瞬だった。

次は美咲達のチアがある。


「頑張って!みんな応援してる!」


「頑張る!浩介もかっこよかったよ!」

「浩介もちゃんとみててね〜!」

「ありがとー!」


ここからだと後ろ姿しか見えないのが残念だ。

後ろ姿でも3人のことはすぐにわかるし、可愛いけど。



「やったね!」

「勝てたね〜!」

「聖奈達優勝だよー!」


「俺これで勝ったの中1以来だよ」


「みんなで力を合わせたおかげだねー!」



体育祭のプログラムが全部終わると、撮影大会だ。


「杏奈もツーショット撮ろうよ」


「うん、いいよ」


「もうモデルさんだねー」

杏奈はカメラを向けられるとすぐに笑顔を見せた。


「雑誌の撮影とか経験したからね、いっぱい撮ってもらったから、浩介もみてね」


「うん!雑誌が出るの楽しみにしてる!」


「浩介先輩!一緒に撮ろうよ!」

愛美からも誘われた。


「先輩かっこよかったね!2年後、私もチアやるから見に来てね!」


「もちろん!2年後と言わず体育祭も文化祭も毎年見に行くよ!」


「やったー!」

あとはクラスのみんなで撮ったり、美咲達と一緒に撮ったり。

時間いっぱい写真を撮って、記録に残しておく。





2011年5月2日


体育祭も終わり、次の月曜日。

ピットコインの価格は1000円を超えた。

今日までの半月で1万ピットコインを買い増しできたが、なかなか量が増えない。


掛かった費用は、3月末に買い始めてから合計で2000万ほど。

確か2013年末に価格高騰していたはずなので、少なくともそこまでは保持しておこう。

そのあたりで一部を一旦売り払うのも良いかもしれない。


それと、家の建築のために10億用意して既に半分の5億を支払いしたが、残りの半分は上棟後、8月までは払う必要がないらしい。

そこまでただ放置しているのも勿体無い。どこかに投資できれば良いんだけど。


渚が以前持っていた2O2Oの株でも買っておくか。

もう少し上がりそうな雰囲気があるし。


1株あたり1450円で34万株、合計4億9300万円で購入できた。

少額なら株価への影響をあまり気にせず、思いついた時に買えるのが楽でいい。

その分利益も少ないが。


もう少し早めに買っておけばよかったな。

家を建てるのは初めてだから、事前に全額用意していたが。

早く父に話を聞いておけばよかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピットコイン→ビット○イン

2O2O→ZOZ○

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る