第25話 文化祭

文化祭準備期間中は放課後に話し合いや、飾りの準備などをする。


一人一人に役割が振られ、店長、会計係、厨房係、接客係などに分かれる。店長には学級委員長の女の子が就き、男子の大半は会計と厨房、男子の一部と女子は接客係になる。俺はお金の計算なら得意なので会計係だ。


「美咲はどんな衣装にしたの?」


「えっとねーメイド服にしたよー!」


「え、早くみたい!絶対似合うじゃん!」


「渚はー?」


「私はチャイナ服だよー」


「いーねー、楽しみー!」

美咲達はクラスの女の子と衣装についておしゃべりしている。

俺もあっちの会話に加わりたいが、会計係の奴らと商品の値段決めをしなきゃならない。


教室で調理などできないので、カフェのメニューはコーヒーや紅茶などの飲み物と、前日に作るカップケーキやクッキーなどのお菓子だ。オムライスにケチャップで文字を書くようなことができないのが残念だ、オプション料金をとりたかった。





注文していた衣装が届いた日、2人には試着してもらったがめちゃくちゃ可愛かった。


「こうすけはさっき着たチア衣装とこっちのメイド服どっちがいーい?」


「どっちも捨て難いけど、どっちかって言うとメイド服かなー」定番だし。


「渚はどう思う?」


「ん、あれきてほしーなー!」

そう言って注文時に渋っていた衣装を指差す。


「それはだめ!」


「じゃあ、私それ着てくるね!」


「えぇ〜、ほんとに着るの!?」


美咲は拒否していたもの以外を、渚は全部を着て見せてくれた。美咲が拒否し、渚が来てくれた衣装は、メイド服という名前で売っていたがほぼエプロンのみで前以外ほぼ全開で眼福だった。これをメイド服と言っていいのだろうか・・・。


「ちょっと、渚!見えてるって!」


「えー大丈夫だよー!ねーこうすけ?」


「お、おう」

何が大丈夫なのかわからないが多分大丈夫なのだろう。

着ている渚は飄々としていて、見ていた美咲の方が恥ずかしそうにしていた。


結局、美咲が選んだのはミニスカートのメイド服で、胸元が開いていて良い。

渚は赤いチャイナドレスを選んだ。スリットから見える生足がセクシーだ。


他にも部活のメンバーから衣装を相談されていたようで、3人で話し合った結果、聖奈には巫女服、杏奈ちゃんにはミニスカポリス、由依ちゃんにはナース服を貸すことにした。




文化祭前日、教室の飾り付けや接客のシミュレーションなどを行い、ついに当日となる。

うちの文化祭は金曜日と土曜日の2日間あり金曜日は生徒のみ、土曜日は外部の人が来ることができる。


「いらっしゃいませー!3名様ですねー、こちらへどうぞ!」


「美咲ちゃんメニュー持っていってー」


「はーい!」


「渚、クーラーボックスからカップケーキ持っていって!あとこの紅茶も一緒に!そのあとは空いた机の片付け!」


「りょうかーい!」


「お待たせしましたー!ご注文の紅茶と、カップケーキになります!」


「聖奈何したらいーい?」


「聖奈ちゃんはあそこのテーブルのお客さんの注文取ってきて」


「はーい!」


「休憩時間だから由依と回ってくるね」


杏奈ちゃんは今から休憩時間らしい。


「はーい、時間厳守でねー」


店長こと委員長は指示出しに忙しそうだ。


渚にだけ少し雑な扱いをしているのは渚の普段の行動のせいだろう。


「お会計は500円になります!」


ちなみに俺は美咲と渚が買ってきた黄色いネズミのキャラクターの着ぐるみを着てレジを担当している。


教室には空きがないほどお客さんが入っていて、大盛況だ。




「休憩行ってきます!」


「あ、こうすけ!聖奈も休憩だから一緒にまわろー?」


「おっけー、どこ行きたい?」


「お腹すいたー!、料理部のとこでお昼食べようよー!」

料理部の出しているお店に向かいパスタを2人分注文する。


「ずっと動いてたもんね〜、おつかれ」


「もうくったくたー!こうすけはレジで動かなくていいからいいな〜」


「まあ確かに、接客しなきゃいけないから女の子は大変だよねー」


「聖奈頑張ってたからこの後なんでもわがまま聞くよ?」


「ほんと!?じゃあ、このワッフル食べに行きたい!あと、こっちのお化け屋敷も!」

そう言ってパンフレットを指さす。


「じゃあ、この後行こっか!」


「これおいひいね!」


「あはは、このお化け屋敷おもしろーい」


「わ!びっくりしたー」

面白いようにクルクルと表情を変える聖奈は本当にかわいい。


「楽しかったー!次は聖奈がこうすけの我がまま聞くよー?」


「そう?じゃあここの射的行ってみよっか!」


「りょーかい!」


「すごーい!景品取れたね!」

偶然玉が当たり、ぬいぐるみを取ることができた。


「はい、これプレゼント!」


「え、いいの?」


「もちろん!聖奈にあげようと思って取ったんだから」


本当はたまたま取れただけだ。


「ありがとう!大事にするね!」

そこまでで休憩時間が終わり、教室に戻った。



うちのクラスはかわいい子が多いからかカフェはずっと満員状態だった。

客単価は500円くらいだが、2日間合計で300人くらい客が入ったので、売上高は15万くらいになった。

衣装代や食材費など、準備にかかった5万をクラスのみんなに分配し、残りは後日の打ち上げ代にする。



文化祭も終わり、3人で電車に乗って帰途に着く。


「楽しかったねー!」


「ね!」


「こうすけ聖奈にぬいぐるみあげたでしょ」

渚が小声で耳打ちしてくる。なぜバレた・・・


「女の子みんなに優しいと彼女は離れていっちゃうよー?美咲には内緒にしててあげるけどねー」

彼女的には自分だけに優しくしてくれる男の方がいいだろうな・・・まあハーレムを作るのが目標だけど。


「安心しなよ、俺が好きなのは2人だから」


「・・・そういうこと普通に言えるのがずるいよねー」

満更でもなさそうな顔をして呟く。


「何内緒話してるのー?」


「2人のことが好きっていう話だよ!」


「もう、誤魔化してるでしょ!・・・私も・・・その・・・こうすけのこと好きだからね!」

美咲も渚も何度言っても足りないくらいかわいい。

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