第11話 小悪魔
10月中旬
1年のうちで2番目に嫌いだった日だ。
そう、運動会である。
ちなみに1番は11月にあるマラソン大会だ。
『・・・小学校、運動会を開催します!』
かわいい声のアナウンスが聞こえる。
忘れているかもしれないが俺と美咲ちゃんは放送委員会に入っている。
放送委員会はこういう行事の時のアナウンスも担当する。
今は美咲ちゃんが生徒が並んでいる前のテントの中でアナウンスをしていた。
俺はリレー競技中のアナウンスを担当する。
そうすれば走らなくて済むからな。
がんばれー!
『紅組がリードしています!白組も頑張ってください!』
グラウンドで大玉転がしをやっているのを横目に見つつ、美咲ちゃんを眺める。
運動会はクラスごとに紅組と白組に分かれるため、渚ちゃんとは別の組みだ。
お昼の時間、美咲ちゃん渚ちゃん家族の隣で家族とお弁当を食べる。
美咲ちゃんと付き合ってるのは割とすぐに親にバレて、親同士で話し合っていたみたいだった。
「お疲れ様、頑張ってたね」
母親に迎えられる。
「疲れたー」
「美咲ちゃんもお疲れ様」
「あ、ありがとうございます!」
なんか気まずい。
お互いの両親公認の中とはいえ、見られながらイチャイチャするのも気が引ける。
「美咲もこうすけももっとイチャイチャしなよー!」
渚ちゃんがニヤニヤしながら余計なことを言う。
「ごちそうさまー、次リレーだからテント行くねー」
「はーい、頑張ってねー」
美咲ちゃんと一緒にテントの方に向かう。渚ちゃんも一緒についてきた。
結局渚ちゃんが何考えてるかまだわからないんだよなー。
運動会最後の6年生の組体操を終え、家族とともに帰宅する。
次の日は月曜日だが、運動会の次の日と言うことで学校は休みだった。
3人で遊ぶ約束をしていたので渚ちゃんの家へ行く。
「お邪魔しまーす」
「美咲はもうきてるよー!先に部屋に入っててー!」
「今日は何するー?」
部屋に入ると美咲ちゃんが声をかけてきた。
「今日はねーちょっとお話ししようと思って!」
飲み物を持ってきた渚ちゃんが答える。
「お話しって?」
「前にさ、3人で付き合おうって言ったの覚えてる?」
「「うん・・・」」
「やっぱり、私はこの3人でいるのが好き、3人で遊ぶのが好き」
「でも「最後まで聞いてね」」
美咲ちゃんの言葉に渚ちゃんが声を被せる。
「2人が付き合ってからやっぱりちょっと寂しいんだよね、2人だけで遊んでる日もあるでしょ?」
いつも笑みを浮かべている渚ちゃんがこんなに真面目に話しているのを見たことがない。
「それはそうだけど・・・」
「私も仲間に入れて欲しい。私は美咲のことも好きだしこうすけのことも好き・・・なんだ・・・うぅ・・・ぅぅ・・・」
そういって渚ちゃんは顔を押さえて泣き始める。
・・・あれ涙出てなくないか?俺の方からは、指の隙間からからっからの目見えてるけど・・・
「わかった、わかったから泣かないで、ね? 3人で付き合うよ!ね?」
「・・・ほんと?」
「うん、ほんと!こうすけもいいよね?」
「俺はそれでいいよ」
目標に一歩近づくし。
「やったー!ありがとう!」
そう言って美咲ちゃんにハグをする。
やっぱ泣いてないじゃないか・・・
「え、今の泣き真似?騙された!」
「もう遅いもんね!付き合うって言ったもんね!」
「もーしょうがないなあ」
美咲ちゃんが仕方なくそう言うと、渚ちゃんは俺と美咲ちゃんにキスをしてきた。
「へっへっへー、これで私もこうすけの彼女だよー!」
よくわからんがやったぜ!
その後3人でめちゃくちゃゲームした。
門限もあり美咲ちゃんが先に帰った後で渚ちゃんに話を聞く。
「結局どう言うことなの?」
「どういうことって?」
「いや、俺のこと好きなの?」
「んーー、こうすけのことは普通に好きだよ?好きって言われてから結構意識してたし」
「3人で遊んでて楽しいなーって思ってたし、それに」
「それに?」
「こうすけより美咲の方が好き!こうすけに取られるのすっごい癪だったもん!友達だから応援したけど!」
「あ、そっち?」
「何その顔、いいじゃん女の子も好きなんだもん」
「それは友達として?」
「んーん、恋愛として、だと思う。他の友達と遊んでもこんな気持ちならないもん」
「そっか、それなら納得」
「ふひひ、どう?美少女2人と付き合う気持ちはー?」
「いや自分で美少女て」
めっちゃかわいいけども。
「だって私たち2人ともかわいいでしょー?」
やっぱりこの子は小悪魔だ。
帰宅し、株価のチェックをする。
12万で買った株が30万以上になってる!
総額100万超えたー!
なんかよくわからんがハーレムと言うにはまだ2人しかいないが、目標に一歩近づいたし株価も順調!
なんか怖くなるくらいに順調だ。
幸時魔多しっていうし悪いこと起きなければいいけど・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます