幕間1※モーリス視点

エリーズとの婚約解消されて大好きなエズメと婚約出来る。

そう思っていたのに。


「お前はなんて事をしたんだ!」


呼び出された私は父上に殴られ、母上には冷たい顔を向けられ、どういうわけか兄上には「ありがとう」と感謝された。


「どうしてあんな事をした?」

「わ、私はエリーズと婚約を破棄したくて…」

「その理由を聞いているのだ、愚か者」


睨み付けてくる父上は凄い怖い。

私は震えながら答えた。


「え、エリーズが悪いのです…!エズメを苛めたから!」

「なに?何故エリーズ嬢が子爵令嬢を苛める?証拠はあるのか?」

「それは…私がエズメを愛してしまったから!嫉妬して苛めたのです!エズメの証言が苛められたと言って…」

「お前は馬鹿か!」


私の言葉を遮り、怒鳴り声を上げる父上の顔は真っ赤になっていた。

相当怒っているのだろう。


「エリーズ嬢はお前を好いておらん!思い上がるな!」

「なっ…」

「それにお前は子爵令嬢の証言だけを信じたのか?周りへの調査を行ったのか?していないだろう?お前は赤ん坊からやり直した方が良いんじゃないか?」

「そうね。そもそもエリーズがいるのに他の女性に懸想したの?あんなに素敵な女の子をよくもまあ蔑ろに出来たわね、愚か者」


兄上と母上の追撃に私が反論する隙はなかった。


「しばらく部屋で反省してろ!私が良いと言うまで出てくるな!」


父上の言葉に目の前が真っ暗になる気分だった。

それから私は部屋に閉じ込められていた。

流石に騒げば良くない事が起きる事くらい分かる。


そしてパーティーから三週間が経った。

そろそろ良いだろうと勝手に決めつけ部屋の外に出た私の元にやって来たのは愛するエズメだ。


「あっ、モーリス様!」


私の顔を見て嬉しそうに笑うエズメは愛らしい。

やっぱり結婚したいと思った。

父上から言われた言葉をすっかり忘れていた私は彼女を連れて王妃の間に向かったのだ。


「母上!紹介したい人がいます!」


ノックもせず部屋に入ると父上と兄上がいた。

そして僕達を見て、三人は睨み付けてきたのだ。


「モーリス、何故お前がここに居る。部屋で反省していろと言ったはずだ」


父上の視線と言葉は鋭いものだった。


「勝手に登城してきた人間をこの部屋に連れてくるとは貴方は何様なのかしら」


母上の言葉に固まる。

勝手に登城してきた?エズメが?


「わ、私は、モーリス様に会いたくて…」

「誰が喋って良いと言ったの?」


母上がエズメを睨み付けた。

それを受けたエズメは怯えたような表情で私の腕に縋ってきたのだ。


「は、母上、言い方を考えてください」

「私は常識知らずと言葉を交わしたくないの。それには貴方も含まれてるのよ、モーリス」


母上からの言葉に絶句する。

今日のところは引き返した方が良いだろうとエズメを連れて出て行こうとすると。


「お、王妃様は意地悪です!私を苛めて楽しいですか!」

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