桜井美奈子は呆れる
「あら、矢島くん、あなたがいるなんて以外ね」
桜井が俺を見つけて少し驚いていた。
「桜井、お前もこのクラスなのかよ」
「あなたはてっきり惰眠を貪っているとばかり」
席に座った一言目がそれかよ。俺相手だと嫌味もセットにしないといけない
仕様なの。
本当なら俺だってそうしたいさ。
夏休みが始まると夏期講習が始まる。夏期講習は選択制なのだ。
「俺は、勉強の意識とボッチの意識だけは高いからな」
「そこは勉強だけにしておきなさい」
蔑む目でこっちみんな。ちびっ子が見たらギャン泣きするぞ。
俺たちがいるのは、数学のクラスだ。なんでも一学期の復習やら
演習がメインらしい。
「お前成績いいんだから受けてなくてもいいだろう」
「そうね。でも復習するに越したことはないわ」
「あっさいですか」
こいつ嫌味で言っていないからな、嫌になる。
まぁ、こいつは実際学年3位だからな、別に俺も
文系科目なら上位には入るけどね。
「それにしても数学が苦手なあなたがこの講習を受けるなんてね」
「まぁな、いくら2年で選択制になるから数学とはおさらばできるけど、
赤点ギリギリを2回も取って受けなさいと言われて行きたわけじゃないぞ
けしてな」
「…理由が残念すぎるわ」
頭抱えないで、頭痛にはバファリンよ。
「まぁとにかくとりあえずこの講習は受けるさ」
予鈴がなる。いつも学校と同じ90分授業だ。
***
まじだるいわ。苦手科目ってどうして怠いんだ。
「矢島くん、凄く悶絶していたわね。見ていて滑稽やら残念なやらはぁ」
そこまでですか俺.....。
「いや、基礎的な問題はわかるけど演習問題だとてんでだめだ」
「全く文系科目だけはそこそこできるならそこまでないとは思うのだけど」
うわぁでたー頭いいやつの「これできるならあれもできる」発言。
「おいこら。文系科目と数学を一緒にするな。こんな数字だらけの法則
文系科目には出ないだろが」
「確かに出ないけど、基礎ができてれば応用もできるようになるなって
いくでしょ」
「おおう」
なんか論点がずれてる気がするが。
「はぁぁ見せなさい。やり方だけ教えるわ。後は自分でやりなさい」
「どうした。頭大丈夫か」
「あなたが私のことをどういう風に見てるのかが容易に想像できたわ」
おお俺の目前に般若が立っておられる。
「すみません、受けさせていただきます」
「よろしい」
俺はその後、たっぷりしごかれた。
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