矢島健の中休み2

体育のテニスで由崎との約束通り、俺たちはペアを組んだ。

毎回先生の世話になるのもなにか申し訳ないからね。

いつもはなんかボールを返す単調作業なのだが、

可愛い美少年のジャージ姿をまじかで見れるのはなかなかいいものだ。

ひとしきりラリーを終えて、俺たちはベンチに座る。

「矢島くん、えい」

「なんだよ」

「えへへ」

由崎が俺をつついてきた。

由崎はいたずらするときには少年らしさが垣間見える。

そうだよね、こんなに可愛い女いるはずないだよな。

てか、本当に男かこいつ。まぁもうどっちでもいいか。

その笑顔、浄化されてまうやろうが。

「やっぱり、矢島くんうまいね」

「そうか」

褒められるとこそばゆいな。

「うん、テニス部の子にも負けないかもよ」

「そうか」

「それ言えば、矢島くんは部活はやってる」

「やっていないな」

家でゴロゴロしたいからな。

「そうだ、矢島くん、放課後一緒でかけよ」

由崎が魅力的な提案をしてきた。

可愛い子(男だが)の誘いを断わることができようか、いやできないね。

「別にいいが、どこに行くんだ」

「そうだね、体が動かせる場所かな」

まぁ運動部だしね、体が動かす系の方がいいのだろう。

別に俺も嫌いではない。一緒にやる相手がいないだけだ。


放課後、俺達が来たのはスポッチャというやつだ。学校から20分、駅から10分くらいのところにある。ここにはゲームセンターとサッカーやテニスなどのスポーツが出来てる。家族や友達やカップルが集う場所だ。俺達も妹をたまに連れてやるくらいで知人と来るの初めてだ。

「由崎はこういうところくるのか」

「たまにね、部活の友達行くかな」

そうだね、部活などのコミュニティに入っていれば大抵のやつは人間関係を

構築できるものだ。


とりあえず俺たちは中へ入り、由崎に導かれるまま、エレベーターにのった。

三階で止まり、出ると奥に3つの密室の部屋があって、そこではラケットを持って壁打ちをしていた。

これは確かテニスみたいなやつ、あれだスカッシュといかいうやつだ。

ざっくりいうと室内で壁打ちだ。勝敗は取れなかったら負けらしい。

「これやってみよう」

「別に構わないぞ」

由崎は受け付けにいった。

こいつはよっぽどテニスが好きらしい。

それにいつも体育でお一人様で壁打ちを勤しんでいる俺にピッタリなスポーツかもしれない。

俺たちは一時間くらいスカッシュをやってみることになった。

由崎は的確にボールを返すそれに動きがいい、そういうばこいつ運動部なんだよな。

俺も何と返せてはいる。毎日学校までチャリで登校しているのだ、

すこし運動能力があるってもんだ。

俺がたまに意地悪をして短めに返す、面をくらって由崎は取れなかった。

悔しいそうにしている表情が可愛いのだ、いけない新たな扉が開きそうになった。

落ち着け、俺はノーマル、ノーマル。可愛い男の子になびかないぞ。

以外と善戦できたのが、小手先だけは由崎に勝てなかった。

でも由崎が嬉しいそうにしていたからよしとしておこう。


帰りに俺達はマケドという有名なファストフードで軽めの飯をすることにした。

てかいつでも人いるようなマケド。

「以外と食べるのな」

飲み物とポテトでお腹いっぱいなるのをイメージしていたが、

由崎ダブルバーガーのセットを頼んでいた。

「だって僕男だよ」

ちょっとむすとした顔をした。なにしてもかわいいとか反則でしょうが。

華奢な見た目をしているからついそう思ってしまう。

「すまん」

俺も見た目でいろいろと言われた口なのに、

まったく、嫌になる。

「いいよ、こんなの慣れっこだから」

「そう言ってもらえると助かる」

これからは善処しよう。

「今日はありがとうね」

楽しそうに言ってくれた、守りたいこの笑顔。

「まぁ俺も楽しめたわ」

そういえば妹以外と遊ぶことあったけぇ・・・。いや今はいいや悲しくなる。

だってボッチだもん。

楽しく会話をしながら食べ終わった。


俺たちは店を出て、駅の方に向かうことにした。由崎は電車通学だからだ。

駅の近くまで来た。

「また学校でね」

「おう」

去っていく由崎の背中を見ながら、

案外、男と遊ぶのもいいかもなと思った。

一人でいることが多かったがなにかをするときは誰かも案外必要なのかもしれない。それにしても性別を超える可愛いの力を今日は目の当たりにした。


家に帰ると幸に

「お兄ちゃん、なんかきもい顔してるよ」言われてしまった。

「まじで」ガチのトーンかなこれは。

「うん、悪巧みする三下の顔だよ」

仕方ない、今日から由崎教を信仰することにしたのだから。

神いやあれは俺に安息をくださる神が遣わした天使かもしれん。

我ながらなに考えているだろうか、わからん。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る