矢島健の休日3
なんと間が悪いことだ。確かに今日は休日、
佐々木が出かけていても不思議ではない。
「あら佐々木さんこんにちは」
桜井の表情が少し強ばっていた。
「うん、こんなところで何をしているの」
至極ごもっともな質問だ。
答えるのを少しためらいながら、こちらに目線が来た。
「あ、やじまーもいたんだ」
まじか、これはどうするべきか。
「あぁ」俺は曖昧な返事をした。
「ふたりは一緒に来たの」佐々木が再び問いかける。
「あぁあれだ。俺が妹の買い物をしている時に偶然会ったんだ。
それが猫のグッズが欲しいらしくて、こいつにアドバイスを
もらったんだ」
桜井になんか睨んできたがお構いなしだ。
猫好きなのはいいことだぞ、たぶん。
「やじまーには妹ちゃんがいたんだ」
佐々木がすこしへぇーとすこし驚いた。
「あぁ世界で一番の妹だ」隣からの変なやつみたいな目線が痛い。
「そこまで!」佐々木がいいリアクションをしてくれた。
実際、可愛いし、コミュ力もある。後可愛い。
「これからどうするの?」佐々木が俺たちに質問してきた。
「もう少し店内をみるつもりだ」
「そっか、私友達待たせてるから行くね」
「おう」
「ふたりとも学校でね」
そういうと佐々木は友達の元へ戻っていった。
あれはいつもあいつが絡んでいる二人組だ。
なんか怖い人にガン飛ばされた気がするが無視だ。
だって、あたしの幸になんか変なことしなかったみたい目でこっち
見てるんだもん。
「なんとか去っていったわね」
桜井は安堵の表情を浮かべていた。
「あぁそうだな」
「感づかれていないかしら」
「さぁな、神のみぞ知るだな」
あいつはおバカだが空気を読むスキルに長けている。
うまく誤魔化せていることをここは祈るしかあるまい。
「そうね、ここで心配しても杞憂だわ。それより早く買い物を済ませましょう」
「あぁ長いはしない方がいいからな」
とりあえず俺たち二人は思い思いにプレゼントを選び、帰路へと向かった。
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