第16話 IGさん

 するとすぐにセロのスマートフォンにボマーの座標データー届く。


「あ、玲音さん。

 仕事早いなぁ―」


 セロは、そう言って座標データーを開く。


「どこですますの?」


 オトネがセロのスマートフォンを覗く。


「んー。

 そろそろこの辺に来るっぽい」


「へ?」


 萌が驚きのあまり声を出す。

 するとカランコロンと店のドアの鈴の音だけが響く。


「ん?どうかしたっすか?」


 太郎と清空がゆっくりと現れる。

 すると萌がいう。


「え?太郎くんがボマーなの?」


 太郎が不思議そうな表情で萌を見る。


「ボマー?

 爆弾のことっすか?」


「違うか……だよねー」


 萌が嬉しそうに笑う。


「うん?」


 太郎は現状が理解できていないようだった。


「あー

 来ますね」


 オトネがそういうと爆音とともに何かがパン屋の前を通り過ぎる。


「……暴走族でちゅね!めーなのよ!」


 桃が頬を膨らませて怒る。


「じゃ、行ってきます!」


 セロがそう言って店のドアを開けて走る。

 オトネもそれに続く。


「あれ?なにがあったんっすか?」


 太郎が、萌に尋ねる。


「さっきねー

 愛人さんから電話があったんだー」


 桃がそういうと太郎が悩む。


「愛人?」


「そうでちゅよー」


 桃が嬉しそうに笑う。


「あー、IGからっすか」


 そして、すぐにわかった。


「で、そのIGがどうしたんだ?」


 清空が尋ねる。


「あ、はい。

 覚醒者が出たのです。

 高校生の……しかも強い子みたいで……

 ヒーローも何人か負傷がいるみたいです」


 萌がそういうと清空がうなずく。


「うむ。

 私も行ったほうがよさそうだな。

 して、そやつの能力とかはわかるかのぅ?」


「触れたものを爆発させる能力だそうです」


「ほほう。

 触れられなければいいのではないのか?

 ヒーローも弱くはないからそれぐらい気づくだろうに」


「そのへんはわかりませんが……

 きっと強いんだと思います。

 闇が深ければ深いほど覚醒者は、強くなれますから」


「そうだな。

 でも、ま……

 爆発が相手ならセロだけで十分だな。

 技を使わなくてもやつなら勝てるだろう」


 清空が白い歯を見せて笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る