転生したらそこは魔法生物と爽やかな生物学者の暮らす島だった。
ゆうき
第1話 咲坂結衣。32歳。派遣OL。
ふんふんふん。
なんだかとってもいい匂いがする。
あたしは目を閉じたまま、クンクンとはなを動かした。
ご飯を食べたのは、一体いつのことだったか。
昨晩は、遅くまで残業。
20時過ぎまでのデスクワーク。
自席で軽く、カロリーメイトなんかをつまんだのを覚えている。
(でもこれは、あったかい炊き立ての、白米だわ)
そんなものを前に食べたのはいつだろう。
先週の日曜日のお昼くらいか……。
(あー食べたい!)
口の中につばがいっぱい沸き立ってくる。
あたしは、ガバッと体を起こした。
「あれ? ここはどこだろう」
*
「どんな生活をしたいんだい?」
「好きな時間に寝て起きて、好きなものを食べられたら、それで結構幸せです!」
「わかった。そう願うなら、叶えてあげよう」
神様はそう言ってた。
そうだ、あたしは死んだ。
残業終わって、ふらふらで駅のホームに立っていた。
お給料は上がらないし、正社員にはなれないし、もう30を過ぎたのに彼氏もいない。希望ってなんだっけ。
(このまま生きてても、仕方ないのかも)
そう思ったとき、ふらっと体から力が抜けた。その後のことは覚えてない。
気がついたら、あたしは神様の前で、そう願っていたんです。
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