第69話 SSSSランク vs SSSSランク
「さぁ行くぞ神滅の邪竜。世界最強の勇者の力、その身にとくと叩き込んでやる」
禁呪を完成させSSSSランクになった俺に向かって、超越魔竜イビルナークが殺意と敵意をむき出しにして襲いかかってきた。
膨大な俺の勇者パワーを得て、太陽を閉じ込めたかのような眩しいほどの光の剣となった『破邪の聖剣』。
それが邪悪な者たちが嫌がる波動を、これでもかとまき散らしているからだ。
今までも散々いいようにやられてきた超越魔竜イビルナークの猛突進。
しかし今の俺は――SSSSランク勇者へと超越進化した俺は、それをしっかりと視認していた。
「今の俺を、さっきまでと同じと思うなよ――!」
俺は突進をしっかりと見切ってかわしながら、すれ違いざまに『破邪の聖剣』を振り抜いた。
激しい稲妻のごとく荒れ狂う正義の力が、超越魔竜イビルナークの脇腹から背中にかけてを深々と斬り裂く!
グギャァァァァァァ!!
超越魔竜イビルナークが血しぶきをあげながら、激しい怒りの咆哮をあげた。
血走った目で、俺を殺そうとSSSSランクのパワーをしっちゃかめっちゃかに振り回して暴れまわる。
しかし!
「突進みたいな単純な攻撃や、力の限りに暴れまわって勝てるのは格下相手だけだっつーの。今の俺とお前はSSSSランク、完全に対等だ! そして俺には戦うための技がある!」
俺は研ぎ澄まされた剣技とともに、容赦なくSSSSランクの超絶パワーを振るっていく。
グギャアァァァッ!!
ギャァァァァッ!!
『破邪の聖剣』によって至るところを斬り裂かれ、苦悶の表情で咆哮をあげて暴れまわる超越魔獣イビルナーク。
「せっかくだ、お前にこの世界の真理を教えてやる。確かに魔獣は強い。最初から高ランクで生まれてくる理不尽に強大な存在だ。対して人間やエルフは弱い――だから技を学ぶ、そして極め、高みへと上るんだ」
『破邪の聖剣』が超越魔竜イビルナークの右の翼を、その根元から斬り落とした。
グルギャァァァァァァァ――――ッ!?
超越魔竜イビルナークがSSSSランクとは思えない、今日一番の惨めな絶叫をあげる。
それでも俺は手を緩めない。
光り輝く『破邪の聖剣』を縦横無尽に振るって、超越魔竜イビルナークを追い詰めていく――!
「それが最初から力を持って生まれてきた魔獣との、決定的な差なんだよ。つまり同じSSSSランクなら、技を極めた俺たち人間の方が圧倒的に強いってことだ!」
苦し紛れに連続して放たれたダークネス・ブレスを、俺は全く意に介さずに悠々と回避した。
もはや力の差は歴然、強引に力を振るうだけの程度の低い攻撃がSSSSランクとなった俺を捉えることは、万に一つもあり得なかった。
しかしブレスの乱発によってわずかに間合いが開いたところで、超越魔竜イビルナークはピタリと制止すると、猛然と力を溜め始めたのだ――!
これは――そうか!
「SSSSランクの状態で使える一段階上の超絶ダークネス・ブレスを使うってわけだな?」
そして俺はあることに気が付いていた。
ちょうど超越魔竜イビルナークの射線上に、俺の背中側に、アリスベルたちのいる結界があったのだ。
「SSSSランクのくせにせこいこと考えやがって。これなら俺は絶対に避けられないってか?」
避けなければSSSSランク・ダークネス・ブレスが直撃する。
しかし俺が避ければ、代わりに射線上にいるみんなが死んでしまう。
当然後者はありえないわけで、
「つまり俺はここでなんとかSSSSランク・ダークネス・ブレスを防御しないといけないわけた」
薄汚い卑劣な姦計によって俺の回避行動を封じた超越魔竜イビルナークが、悪魔のようにニヤリと笑った。
その身体の周囲には、いまや暗黒の粒子が大きな渦を巻いて集まっている。
そこから放たれるのは、今までとは次元が違う高密度、高威力のSSSSランク・ダークネス・ブレスだ。
それはまさに神をも滅する神滅の黒き炎。
でもな――!
「やれやれ、俺も舐められたもんだぜ」
俺は『破邪の聖剣』を大上段に構えると、ありったけの力をその刃へと注ぎ込みはじめた。
「必殺技の威力が上がってるのがよもや自分だけと思ったか?」
ただでさえ眩しく光っていた『破邪の聖剣』が、さらにさらに猛然と輝きを増していく――!
「いい加減もうお前と戦うのもうんざりなんだ。どちらが上か、ここらで白黒はっきり決つけようぜ?」
俺の言葉を受けてかどうかは知りえないが。
その言葉に反応するように超越魔竜イビルナークが身体を逸らして大きく一度、口腔を天に向けると、俺に向かって叩きつけるように漆黒の光の柱を撃ち放った。
今までのダークネス・ブレスとはけた違いの暴力的なまでの暗黒のブレスが、俺に向かって一直線に襲いかかってくる。
対して俺も、大上段に構えていた『破邪の聖剣』を力いっぱいに振り下ろした!
「受けてみろ、これが世界最強の勇者の力だ――!『
SSSSランクの闇のブレスと、SSSSランクの光の柱が真正面から激突した――!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます