魂術学優等生の世界救世戦記

明武士

プロローグ

びゅううーーーーーん。


風が気持ちいい。


........


ぴーぴ~~。ぴーぴ~~。


鳥のさえずりが心地よい。


.........



シューーーーーン。


海や大空も清廉とした空気を放っていて気分が安らぐ感じ。



そう。<あの最悪な記憶>さえ思い起こされなければ。

「--うん!?」

眼前にはどこまでも広がる大海である、「グロウーハ海」を前にして、橋脚に座っている俺は<あれ>を見てしまった。


「あうぐぅぅ......ぐぁぁあー!」


歯を食いしばりながら必死に強烈な頭痛に見舞われる俺はあの<最悪の日>が脳内で再生されるのを成すすべもなく見させられようとしているのだ。


「ねえ~ねえ~、ナグくん!これを見てー!」

「んー?なにそれ?」


「これ、なんか変な形してる花を奥にある丘で見つけたわよ。ねえ、見て見てー?光ってるわよ。」


「どれどれ....ふん?ああ、確かに光ってるよね。茎の部分はあっちこっちで蛇のように曲がってるし、それに形も花びらが三つまでもあるけど、一つだけ3種類の色が混じっている?赤...青...そして...黄色。なんか変! 不思議だね......ってなるかアホーー!明らかに普通じゃないから放しちゃった方がいいと思うぞ?毒が入ってるかもわからないし!」


「えええーー!?やだー!せっかくあたしがこんな見たこともない花を苦労して丘を登ってきて手にいれたものなのよー?手放しちゃもったいないじゃないの!もしかしたら新発見な種類なのかもしれないし、絶対これ持って帰ろうよー!ねえー!?」


「駄目だ、ミリー。そこらへんに捨てろよ。危険かもしれないモノを持ち帰りするほど俺たちの命が安くないよ?」


「嫌だ。だって、これさえお母さんに渡したら、あたし達が新種類発見者としてきっと何か褒賞をもらえるでしょー?こんな機会のがすべきじゃないでしょうに~~。」


なおも駄々をこねる彼女、「ミリー・ケナイダー」。こいつは俺の7歳からの同年代の幼馴染で、今こうして13歳同士となった俺らなのだが、彼女はいつもこんな調子で何か決めた時には頑固として譲らない点がある。俺とは真逆の白い肌を持っている金髪セミロングな彼女は髪留めを調整しながらかっこよくポーズを取るつもりか、右手をそこで据えて左手を握り持っているその花を俺の方に突きつけながら、こういった:


「だからいつも言ってるじゃない~。見てなさいよね、こっちこそ、未来の<発見学者女王>となる者なのだからね。あたしのお母さんと同じく。」


自信満々に宣言してきた緑色の瞳を爛々と輝かせてるミリー。


今、それを思い返せば、きっと俺にも罪を問われるような重罪な過ちを犯してしまったということになるだろう。だって、あの時!


俺さえ「強引にでも彼女の手からその花を引き剥がしたら」、きっとー!< あれ >が起こらなかっただろうーー!!


「ん?ミリー、後ろ、何か光ってないか?」


「え?」


そう。俺が気づいたことを、彼女も後ろへと振り向いた時で一緒に< あれ >を<見てしまった>。


紫色に光っていた彼女の手にある花が、この平原の前方にはそれと同じ色の光も地面で急に出現した謎の円陣から発生され、ぴかぴかと強い光力で輝いているのだ。


「ミリー!その花!花!」


「んー!?ええ、これはー!?」


彼女も気づいた。まるでその円陣の仕掛けに共鳴するかのように、その花の発する光も円陣と同様にいきなり同じ間隔で点滅しながら、目に眩いほどの光源でここ辺りを照らし始める。


それは一瞬のことだった。


目くらましを食らった俺とミリーは何の前触れもなく、<いきなりその円陣からクギラに似ているような巨大なお魚っぽい魔物らしいモノが飛び上がってくる>のを、目線が復活した後に目撃した。


「--!!?ナグくん危ないー!」

ボコー!

「うぐー!?」


俺を危険な間合いから助けるためか、彼女がそのリーチの長い白いパンストで包まれた脚で鋭い蹴りを放ってきて、それで吹き飛ばされてゆく俺。


バー!

「ぐー!」


地面に落下した俺は一瞬それで気をとられていたが、はっとなった俺が彼女の方へ見返した時には既に遅かった。


「ミリーーーー!!!!」


俺が最後に彼女の顔を見たのは、俺を危険から助けたことにより安堵したのか、慈愛深い笑みを向けながら、一滴、2滴の雫を瞳から流し出していった。涙だ。


「----!!ミリぃぃいいーーーーーーーーー!!!!!!!」


もう遅かった。


びゅうーーーん!

なんの音も咆哮も上げずに、ただ静かに大きな口腔を開けながら彼女のいる位置へと、飛び込んでくると同時に<口から呑み込んだ>!!!


「ミリーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」


.....................


.............


.......



あれから3年も経った。


あの時、記憶がおぼろげだった為に、どのようにして家に帰ったかよく思い出せなかったけど、俺の母から聞くと、顔面蒼白で弱々しい放心状態な表情で帰ってきたらしい。


思い出せなかったけど、きっとあの野郎がミリーを呑み込んだ後、あの円陣か何かへと飛び戻ってきたと思う。


許さない。


俺の近くにずっと道を共に歩んできた幼馴染が、しかも外見の違いすぎる俺でも子供の頃なのにも関わらず気にせずに気さくに話しかけてきて、あの時の7歳だった頃の俺たちに。


さっき、海から飛び上がったクギラがいたものだから、それで<最悪の日>がまるで白日の悪夢みたく感じられて、それでトラウマを呼び起こして頭痛にさせた。


くそがーー!ミリーー!俺がもっと早くお前の手からあんな忌まわしい呪物を引き剥がせたら、あんなものがきっと、最初から現れなかったといのに......。


「くぅぅ.......。」


気が付けば、何滴の涙もが目から零れ落ちてきて、俺をまたも償えよという後悔の声が脳内から反響するかのように......。


ド、ド、ド......


「やああーー。こんなところにいたんだね。」

「!?」


俺があまりにも昔のあれのことで頭いっぱいだったからか、彼が俺の近くまで歩いてきてもまったく気づいてなかった。


「...........ケネース..。驚かすなよ...。」


彼に気づかれたくない一心からか、俺も慌てて涙の後を服の袖でぬぐって、なにごともないように振舞おうとするけど、それを見逃すほど彼、ケネースは目ざとくないわけがないんだ。


「またあいつのことかい?」


「..............ほっとけよ。これはさっきのクギラのせいだ。」

「.....ああ、あれか。それを見てるいやでも思い出しちゃうんだよな。それなのに、なんでいつもここへ来ることにしたんだい?暇のときに。」


「お前もすでに分かったことだろう?わざわざ聞くまでもないことだろうに....。」

「はは.....ごめんね、ナグクアのことが心配で耐えられないからついついいじりで君の気分を僕への怒りで切り替えようとしてただけよ。」


「それ、あまり怒る気にはなってないから意味なかったんと違う?」


「あははは。それもそうだね。でもさ、トラウマを克服しようと言い出したのは4ヶ月前からなのに、今日になって20回以上もここへ来ていたりするんだよね?でも君ってまったくいつもと変わらずにあんな調子ばかりじゃないか。無理に克服しようとしなくても自身の一部と同じように受け入れー」

「それ以上は言うなー!」


は、とため息をつく彼なのだが、きっと彼も俺のことを呆れている目で見てるだろうね。


ごめんね、親友。こればかりはおれ自身が解決しなくてはならない問題なのだ。それに、あの花がなんだったのか、なぜそれが光っているとあの不可解な円陣が出現して、あんな見たこともない<コェールロッス>がそこから飛び出てくるのか。


......そして、年齢に反して元々<魂力>の高かったミリーがなんでああも容易くあの魔物に呑み込まれていたのかという謎も、いつか俺が突き止めてやらなくては。


「で、結局は克服の問題とかだけじゃなくて、あの謎の花のことも調べ続けていきたいんだろう?ほら、君がミリーと一緒に遊んでいたあのランダー平原で彼女が見つけたって話の」


「......ああ。そのつもりだ。」


「当たり前だよね?僕たちの超親しかった幼馴染だったんだもん。....これは何回も話題に上がったことなんだけど、ミリーちゃんが見つけたあの<化け物を呼ぶ花>ってよく考えれば偶然にその丘で発見したわけじゃないと思うんだよね?」


「当然だ。あのような人を魔物の生け贄にする花、もしそこら中に勝手に生えてきたら他の人だってすでに犠牲になって昔から話題にはなってたに違いない。」


「でも、それがないとなると......。」


「ああ....。お前もすでに知ってることなのだが、その日の翌日に調査が王国軍が行って結果が出てきた時にはあの調査官がいうように.....誰だったっけ?ああ!そう、ミレーナ調査官が俺と母ちゃんやミリーの両親に説明した内容の中に、どうやら魔物を呼ぶ花っていうのは今までになかったことらしいんだ。」


「つまり、誰かが意図的にその花がミリーちゃんの通る道に置かれるように仕向けたってわけだね?」


「うん、その通り。」


「こんなことをいつも話してきたから結論がいつもこれになっちゃうので、今度は行動を起こすことだな。すぐにでもあんな諸悪の根源の正体を突き止めて、もし黒幕とか災いの元にたどり着くことができたら、彼女の仇をとりたい。でも...あんな<コェールロッス>、君の目撃証言からするとまったく何の種類だったのかまったく解明できてなかったらしいんだけど、もしかすると新種だったのかもしれないね。」


「ええ。それ以外に説明のしようがないみたいだな。」


「では、これからも僕たちで引き続きあれのことについて聞きまわったり調べつくしていこう。今は午後5:00時なので、それ関連のことはもう日が遅くてまたの機会にするけど、そういえば今日はナグクアんちでおばさんが晩飯をご馳走するそうだってー?」


「ああ。そうだ。....ん?あ!忘れちまったよー!?」


「-?急にどうした?」


そう。俺はとある重大な事を忘れてしまったのだ。


「俺、エリン先生の課した宿題がまだ1問も解いてないのを思い出してしまったんだ!早く帰って宿題をやらなきゃー!」


「あはは.....。どうやら君にも学業というものにも集中した方がいいようだね。なんか、単位がやばそうと最近きいてたし。じゃ、参りましょう、友よー!」

「ぷー!」


「ええー!?なにいきなり吹き出したのはー?」


「ぷはははははぁぁーー!何が「じゃ、参りましょう、友よー!」~~だーー!ケネースのくせに臭そうな台詞も出せてしまうじゃんーー!ぷはははーー!~~」


「君という男は~~!ちょっとだけ気合を分けてあげようって思ってたのに~~。」

「あははは~~、もうわかったわかった、怒らない怒らないー!男だろうー?じゃ、行こうぜ?」


「お、おう。」


彼、ケネース・アルビンをそう宥めると、俺たちは男二人連れ立って、あの橋脚からこの港町、<ラントッス>の北部にある我が家へと向かう。ちなみに、<ラントッス>は「グロウーハ海」に面する町で、海軍の連中のたまり場である<ジェーファス亭>があることで有名なところらしい。まあ、16歳の俺らには行ったこともない場所だから詳しく知らないけど。


俺よりすこしだけ長身な彼は、碧眼を反射光できらきらさせて金髪ショートを手でかきながらミリーと同じ白い肌色を落ちてゆく太陽の光でぴかっと反射させる。


ちなみに、ケネースやミリーはこの国、<ヴィヴェーニ大王国>の<ゴールデーロンネ人種>という人口の大半数に所属する人間で、俺の方はこの国の人口の1パーセントだけを占める、いいわゆる超少数派に属する、<モールラック人種>の一員という者だ。


だから、俺たちが親友同士ながらも外見が正反対なのだ。他人種と言うことで、彼の肌色が白いのに対し、俺の方が黒い肌を持っていて、髪の毛も彼と違ってぐるぐる曲がってる。


で、あの<最悪の日>から3年も経ったので、今、俺とミリーと同い年のケネースも俺と同じく16歳で今はこの町の唯一の公立学校、メリオン魂術習得学院の2年生として通っている。ミリーやケネースには本当な心の底から感謝している。確かに彼らはこの国の人口の大半数を占める人種の一員たちなのだが、総合的な立場から比べれば俺とそう変わらない。


だって、彼らは貴族の出じゃなくて、ただ俺と同じ<平民>なのだから。


特権階級にも属せずなんの権利もなしの二人なのだが、それでもこの国で大半の人口からよく思われてない<モールラック人種>の一員である俺にも優しく平等な人間として、親友として扱ってくれて........本当に感謝!だから!


待ってろよね、ミリー!俺、ナグクア・ネイズは必ずあの花がなんだったのか正体を暴いて、そしたらお前の仇をとる。そのためにはもっと魂力をあげたり魂術の習得に励んだりしなければならない。そう、たとえ俺が<モールラック人種>で、ミリーやケネースみたいに魂力があまり高くないとしてもだ。それでもなんとか奇跡を起こして、亡くなる大切だった幼馴染のために一矢報いたい!あんな化け物を俺の手で倒して敵討ちを成し遂げたい!もちろん、ケネースと一緒に。彼もミリーのこと、あの頃から俺ら3人でずっと遊んでたからきっとこの件についてもすっきりさせたいんだろう。だから、いつか必ずあの花に関するすべての真相を突き止めてみせるんだ。


で、俺んちへと向かう俺たちだったけど、あの時は想像もできなかったんだな。そう。

これから、「大きな騒動へと巻き込まれる羽目になる」ってことに。


..................


...........


......



一方、<ヴィヴェーニ大王国>の東部にある<モロアの森>にて:



シーーーーーーーーーー。


静寂。 その一言が今のこの場をよく表す単語なのである。


シューーーーーーーー。


時折、鬱蒼と茂る深い森の中を断続的な音で揺らすのが突発的な鋭くて短い間隔の風で、いっそうとこの場の幻想的な雰囲気をもっと際立たせる役割を果たした。


シーーーーーーーーーー。


「ふうぅ.......」


小さく聞こえるそのしっとりとした息遣いが森のとある開けた場所で発生した。


どうやら、木々に囲まれているその深緑の広場の中心には目を閉じながら突っ立ている一人の少女がいるようだ。


「はふぅぅ.....」


ゆっくりとした間隔で息を吐いたり吸ったりしてきたが、最後はああいう長く深い吐き出しをするその少女は、やがて目を開けた。


「また来たようだね.....。」


深遠を覗いていそうなその威圧感もすごく感じる鋭い黄色な瞳をしているその少女は、着ている優雅で煌びやかなワンピース制服みたいな衣服をそのフリルのついたスカート部分をひらひらさせながら、細身な華奢な体格をしている彼女とは到底につかわしくない豪華なデザインで重そうな大剣を右手に握り持っているまま、静かに、それでいて冷静沈着な仕草で後ろへと体を振り向かせた。


「キシャーキシャーーシャアアアーーーーー!!!」

「はッーー!」


グチャアーーーー!!


襲ってきた蛇のような頭部を持つその飛行している蜂の胴体をしている魔物を見事に打ち破った少女。両断された蜂は彼女の金髪ロングでキラキラと光を反射させながら地面へと崩れ落ちて動かなくなった。


でも.....


「ウゴウアアーー!」

「はああああーーーー!!」


グチュウーー!


次には飛び散る肉片と化したその二足歩行型な鰐の姿をしている魔物だけど、どうやら一瞬の内に迎撃を完了した模様。あんなに恐ろしい速度で走ってきたというのに、三つ網を頭の後ろへ結いあげた金髪少女は苦もなく、雷のような速さでその重厚な大剣を振り上げて撃滅させたのである。


「これで最後........とまではいかないんだよね。なにせ、「モロアの森」の中心部なのだし。はあぁぁ.....この後はようやくジョセフィーン達と部室でお茶会タイムってところなのにまたも訓練を長引かせようって魂胆なのだな、あんた達.....。」


「ガオオオオーーーーー!!!」

ドシャアアアーーーーー!!!バコオオーーーーー!!!


今度は大物らしい。大木のような古い木々をいとも容易くぶつけ次第たおしていくその巨大な巨人のようなゴリラっぽい魔物は分厚い毛皮を胸を張って見せ付けながら太い丸太のような両腕を天高々振り上げて拳を組みつつそのまま真っ直ぐへと少女の立っているところへ振り下ろされようとしている。


「.....ふーーわあぁぁ.....」


圧倒的な体格さを前にしても一瞬もひるんだりしないどころ、むしろつまらなそうに大欠伸をかきながら子供の玩具を扱うよう簡単な仕草で大剣を肩に載せた彼女。

そして......。


「ガウウオオオオーーーーー!!!」

破壊力の高い風速でその腕を振り下ろした魔物なのだがーー


バコーーーー!!!!!

「ゴヌーー!?」


そう。クレーターが出来上がるほど強い力で打ち込められて土埃の中に押し付けられた少女の方だけど、よくよく見れば、魔物の両拳を剣で受けとめただけで、なんの怪我もしていないのである。


「いい打撃だったよ、オルキオスちゃん。だがな、それで私が倒されるとか本気で思ってるわけ?」

「ヌーー?」


「--それ!」


爆発的な怪力で以って、いきなり大剣を振りあげた少女はその衝撃だけで魔物がまるでぬいぐるみみたく容易に空へ高く押しのけられて凄まじい速度で吹き飛ばされてゆくのであった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ.........


よく少女の方を見れば、彼女の全身が青白い光に包まれ始め、鋭い眼光で視線をく空に吹き飛んでいく魔物に据えながらあれに向かって剣を突きつけている最中なのだ。


「はあああーーー!魂術、第4階梯!<白爆円熱投戯グランフォーレスト>!!

ギュウウウウーーーーーーーーーン!!!!


彼女の掛け声と技名叫喚と同時に剣からは大きな円くて白い弾が発射され、周りの空気をも蒸発させるような熱さを誇るそれがサイズに反して信じられないようなスピードで吹き飛んでいる最中の魔物に向かって接近していった。


バコココーーーーーーー!!!!!


けたたましい爆発音と共に上空を白い爆発が巻き起こってすべてが無と帰する。


塵と灰や肉片の一欠けらも残さないそのような派手な技は攻撃対象が消滅した後もここの周辺を戦慄とさせるような雰囲気を醸し出している。


それも無理もないこと。


なぜなら......


「ふううぅぅ......今回は久しぶりに第4階梯の魂術を使ったからなんか魂力の消費がいつもの訓練よりに激しかった気がする。さっきの使わなくても普通に攻撃すれば片付けられたのに我ながらなんて自重の利かない身体を持ってしまった。本当に罪な女なんだね、私。」


少女は誇張でも自慢でもないように、ただ淡々と事実だけを呟いている。


そのワンピースドレスに近い感じの高級そうな制服の中に窮屈に押さえつけられている豊満な乳房は背を向けると同時に大きく揺れて、彼女の肉つきのよさをよく物語っている証拠になる。


「さてと.....予定通りにお茶会にでもいくか。彼らのことについてをジョセフィーン達と一緒に話し合おう。」


ついさっき魔物と戦闘中だったのを何事もなかったかのように振舞う色白で金髪ロングな少女は、どこともなくそれだけ独り言を漏らし静かに森の中心部を立ち去っていく。


宣言通りに、<お茶会にいく>という目的のところへ向かうために。


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