第11回 強敵!緑の九頭龍!!

世界樹アトラス内部ダンジョン65階層。


大型装甲車ゼロムキャリアーでそこに到達した俺たちが見たものは・・・調査団と思わしき人々が倒れている姿だった。

あとは迷宮というのは何も無い、ただひたすらに広い空間が拡がっているだけであった。


「えっちょっとちょっと!死んでるわけじゃないよね!?」

「そこは心配するでない、ダンジョンで亡くなった者はゆっくりではあるがダンジョンに吸収されてしまう、この者共は意識が飛んでいるだけであろう。」

「なるほどな・・・。」


調査団とはいえ迷宮に挑めるレベルの冒険者を束ねた武装集団であることには違いないはず、それが軒並み気絶させられている、か。

この階層は何も無いんじゃなく、なにか為の広間なのではないか?


「・・・だいたいハヤトが考えてるのわかるよ、多分ボス部屋なんだココ。」

「じゃな、こういった塔のような迷宮には各階数ごとにダンジョンが大型モンスターを配置する階層があるという・・・油断めされるなよ?」

「ああ、来たようだ。」


大きな振動と共に、ツタや植物が絡まりあっていた壁から大きな影が迫り出してくる・・・それはまるで意志を持った巨大な樹木だ。塊のような胴体が完全に壁から切り離されると鎌首をあげた大蛇のような首が無数にぐねぐねと解き放たれたのだ!


『『『KSYAAAAAAAAAAKSYAAAAAAAAAA!!!』』』



「コイツは・・・プラントヒュドラじゃ!恐らく調査団はこいつに全滅させられたのであろう!」

「植物のモンスターってこと?こんなのもいるんだ。」

「ヒドラ?微生物なら知っているがここまで来ると化け物だな。」

「どう見たって化け物じゃ!【防壁魔法マナ・ウォール】!」


ジオがバリアのような魔法を使い、襲いかかってきた首を弾く。


「よーし、植物なら凍らしちゃえば倒せるよねー?わたしにお任せ!」

「・・・やり過ぎるなよ?」


ミサキが腹を撫でるとそこに俺のものと同型の【ゼロムドライバー】が出現する。


「あのベルトは・・・ミサキも変身できるのかや??」

「ああ。」


そしてカードを取り出してスキャニングさせるミサキ。


『カメンレイダァァ、ナーガッ!フリィィズスタァイルッ!』

「へ??・・・変身。」


神々しく輝くダイヤモンドダストに一瞬で包まれると回転しながら白いインナーと黒いアーマー、それが装着されていくと青いエフェクトが形を成し、竜のような意図を持つ仮面の戦士が現れる!!


「・・・あたしのベルトまでおかしくなった?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーミサキ視点ー


やっぱりこの世界でも問題無く変身できちゃうんだ、傷を治してくれるよりこんな呪いを無くして欲しかったかな・・・

まあそのお陰でこんな化け物とも戦えるワケだけど!!


「ミサキよ、そのモンスターは恐らくは麻痺毒を使い調査団を昏倒させたのであろう!牙に気をつけよ!」

「りょうかーい!」


【サモンソード】で両手剣型のナーガブレードをベルトから取りだすと振り回して首をどんどん切り落とす!!


「はぁあああああ!!」


普通なら女性剣士はレイピアなどを使って素早い戦いを挑むのだろう、でもわたしの戦闘スタイルは大剣を超スピードで振り回すのが常である。

見た目こそモンスター狩りゲームのサイズだけど、わたしの【フリーズスタイル】の真骨頂は使。実はこの剣だって水を凝縮して振り回しているのです!要するにその刃は圧縮ウォーターカッター以上の切れ味なのだ。


「植物モンスターは再生力が高いのじゃ!どんなに首を切り落としてもすぐに生え揃ってしまうぞ!」

「俺の加勢が欲しくなったらすぐ言えよ?」

「・・・なぜミサキ一人で戦っておるのじゃ。」

。」


ならばわたしはその信頼に応えよう。


「なんじゃ?さっきより気温が下がっているような・・・というか寒いぞ??」


ダンジョンは樹木の中だけあって若干温度が高く、湿気も強い。だが、それもナーガの能力なのである。

見ればプラントヒュドラもすでに動きがぎこちなく、体の節々も凍りつき始めている。


「フフフ・・・わたしが剣を振るごとに空気が凍っていくのよ・・・ついたあだ名は【雪女】、さあ覚悟してちょうだい?」


【ファイナルアタック】のカードをスキャンするとわたしの剣は柄をのこして粉々に砕け散る・・・がそれは百本余りの剣の形に広がっていく。そのままプラントヒュドラ目掛けて青白く光るエフェクトの刃を大きく振りかざした!!


『ファイナルゥアタックゥゥ!!ナーガスラッシャァーー!!』

「凍り付きなさい。」


一閃。

数十本のエフェクトの剣が一斉にプラントヒュドラに襲い掛かり・・・。



ーハヤト視点ー



爆発こそしなかったもののいくつにも寸断され完全に凍りついたプラントヒュドラの周囲には俺の時同様に素材がばら撒かれていた。コレは倒したという結果さえあればこうなる現象なのか?素材は凍ってもいないし不思議だ。

そして65階層の中央には撤去不可能な氷のオブジェが出来上がったのである。

ナーガのファイナルアタックで出来上がった氷は俺が炎を使わない限り溶けないだろうな・・・。


「お主ら・・・ふぁいなるあたっくとやらを使わずとも倒せるよな・・・?」

「倒せるぞ?」

「倒せるね。」

「よーしお主ら、今後は余程の強敵でない限りふぁいなるあたっく禁止じゃ!!」

「俺たちから見て強敵か?」「えーつまんなーい!」

「とにかく禁止じゃ!そのうち地形さえ変えかねないじゃろお主ら!!」


こうしてジオから俺たちへの必殺技使用禁止が言い渡されたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る