第4回 辺り一面に転がる素材
ーサラ視点ー
それは蹂躙というのが正しいのでしょう・・・
一方的な戦いでした!突然銀色と緑の鎧を着た騎士様に姿を変えたシシオーさんはあのB級冒険者でも束になっても敵わない危険な魔物、フレイムベアー相手にまるで・・・大人と子供というか・・・猫とネズミの戦いを見ているようでした。
「せいやッ!」
シシオーさんは特に武器のようなものは持たずに素手で戦っているのですが、ただのパンチただのキックでどんどん相手を追い詰めていくのです・・・。
「はああッ!!」
もう相手はボロボロのようです、するとミサキさんがまた護符のようなものを投げ渡し、それを受け取ったシシオーさんがそれを腰巻の大きな金具に護符を接触させて・・・。
ーハヤト視点ー
変身したはいいけどもあまりいじめても仕方ないか・・・終わりにしよう。
ファイナルアタックのカードをスキャンすると俺の身体は視認化した緑の風を纏って空中に浮かび上がっていき、同時にフレイムベアーとやらを再び魔法陣が浮かび上がり光る鎖が拘束していく。
『ファアアイナルゥアタァァックゥゥ!!』
・・・いちいち音声が気になるが気にしたら負けというものだろう・・・。今まではカードをスキャンしたときに【ファイナルアタック】程度に静かな機械音声だったはずだが。
「はああああ、せいやァッ!!」
『ゼェロォォ・クラッシャアアアアアアア!!』
閃光一閃。
竜巻のような光に包まれながら蹴り足をフレイムベアー目掛けると一直線に突っ込んでいく、これが俺の必殺技の【ゼロ・クラッシャー】である。
ズドォォォォオンッ!!!!
斜めにレイダーキックを受けたフレイムベアーは叩き付けられ、激しい振動が地面を揺らして大爆発を起こす。
「・・・終わったな。」
「へぇ、怪人じゃなくても爆発するんだねぇ~。」
「えええええ!?なんで魔物が爆発するんですか???」
爆発の煙が晴れた後、そこに残っていたのは大きなクレーターとなって凹んだ地面と・・・フレイムベアーの死体などはなく大の字になって敷物のようになった毛皮と肉の塊、拳大の赤い球体と爪が数本残っていた。
「ええ!?なんで
「・・・解体済みとは?」
シュオンっと言う小気味いい音とともに変身を解除した。
「あっ、シシオーさんに戻られたんですね・・・えっと魔物というものはですね。」
ここからは彼女の説明を箇条書きに説明したものになる。
魔物とはこの世界でいう魔力を宿した魔石、先程フレイムベアーを倒した際に出てきた赤い玉を生まれ持った生物をそう呼称するらしい。
魔物の素材は強いものほど貴重であり、本来は倒した際に解体作業が要るものだそうだ。
なぜ俺がファイナルアタックで倒したら爆発して素材になったかは不明らしい。
それはそうだ、普通生き物が爆発したら【自主規制】【自主規制】となって【自主規制】となり見れたものではないだろう。
「大丈夫かサラ!!」
「今の轟音はなんだったの!?」
と駆けつけてきたのはサラに似た雰囲気を持つ、高い露出度の服を着た男女二人組だった。
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「なんとフレイムベアーが現れたのですか!?」
「サラをお救い頂きありがとうございます!」
腰が抜けてしまったサラをおぶったのは父親のエドワードさん、彼の分まで弓を背負うのは妻のリリムさんだ。
彼らはこの森の中心にある里からフレイムベアーの爆発音に驚いてここまで走ってきたようである。
「しかし収納魔法まで使えるとは驚愕致しましたぞ、まさかあれだけあった素材の山を全て収納してしまえるとは!」
「はあ、そうですかね。」
基本的に俺は知らない人と話す時は昼行灯である、それが興味のわかない相手なら尚更だ。
収納魔法とやらはわからないが俺が魔物をしまったのは【ゼロムドライバー】の次元収納機能を使っただけだ。元々かなりの大型ビークルやキャンプ施設を常にしまっているのだ、それが少しくらい増えてもまだまだ余裕はある。
「はあ・・・、じゃないでしょハヤト!交流とかしないから前も仲間が増えなかったんじゃない。」
「仕方あるまい。」
「そら、見えてきましたシシオ殿。あれが我らエルフ族の誇る大樹の隠れ里ですぞ。」
「・・・おお。」
見えたきたのはまさに世界樹と言っても過言ではない、組織のアジトだった巨大高層ビルと同等の威容を誇る大樹だった。
ミサキがすかさずスマホで写真を撮っていたのは言うまでもない。
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