ぼくのロボットがバラバラにされる
ポピヨン村田
約束
ある日、世界の仕組みが変わってしまった。
空に大穴を開けて時空のカナタから現れた巨大なケモノが街を、森を、海を、およそ思いつく限りの人類の資源すべてを踏みつけ、進みつづけた。
そこまでされて人類も黙っていなかった。世界規模の未曾有のピンチに、各国はそれまでのいさかいを一時中止して手を取り合った。
そして全人類の叡智と――ケモノの亡骸から得た未知のエネルギーを結集させて造られた人道兵器が、ぼくの大切なロボットである人類の守護者『ナイトガーゴイル』だ。
ぼくはふつうの日本人の小学生だったけれど、なぜかナイトガーゴイルのパイロットに選出された。理由はトップシークレットらしい……が、僕をパイロットにするとなぜか強固な装備と装甲を持つケモノたちが、途端に弱っていくらしい。
ぼくはナイトガーゴイルに、ケモノと戦う力を与える不思議な男の子なんだ。
最初はとてもこわかったけれど、ナイトガーゴイルはいつだってぼくをしっかりとまもった。傷のひとつもつけさせなかった。
ナイトガーゴイルはすぐにぼくを最良のパートナーだと認めてくれて、人類にあだなすケモノたちを次々と撃破していった。
まもなく、ぼくとナイトガーゴイルはあまねく人々から英雄としてあがめられるようになった。
ぼくはうれしかった。ぼくみたいなふつうの子供が、たくさんの人たちのためになにかができたのだと思うと、本当に、とてもうれしかった。
だからこそ、最後の戦いにおもむく日は、とても悲しかったんだ。
だってこの戦いが勝ったら、ナイトガーゴイルは役目を終えて解体されてしまうのだから。
今でこそケモノという共通の敵がいるけれど――かつてはお互いにいがみあっていた人類の暮らしの中にナイトガーゴイルの力がのこされてしまうと、新たな争いの種となってしまうから、らしい。
ぼくは納得するしかなかった。でもとても悲しかったので、悲しい気持ちをナイトガーゴイルに打ち明けることにした。
すると、ナイトガーゴイルはぼくに優しい言葉をくれたんだ。
「あなたが何処へ行こうとも、私は必ずあなたを見つけます。だからどうか心配しないでください。マスター」
僕はその言葉が、なぐさめだとわかっていたけれど、それでも不思議なくらい安心した。
「ぼくもかならずきみに会いにいくよ。約束だよ」
ぼくはとても安らかな気持ちで、ナイトガーゴイルとともに最後の戦いにのぞんだ。
そしてぼくは最後の戦いに惨敗した。
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