第2話 異世界テンプレお姉さん
なんで白い空間に居たんだろう……
トラックにも引かれてないし、学校の教室にも居なかったし、ブラック企業に勤めて過労死もしていないのに……
とにかく異世界で生き抜く為によく読むラノベを参考にテンプレスキル『鑑定』と『収納』はゲットした。異世界言語のスキルもテンプレだけど何度リセマラしても現れなかった。多分、言語は日本語なんだろう。
ジョブは何度【やり直し】を選択しても『白魔術師』になった。ランダムと書かれていたのに意味不明だ。ひょっとしたら私がリアルで医師を目指しているのが関係しているのかもしれない。
私はエルフの美少女としてこの世界に転生した。転生した時にたまたま隣にいたタラオという若い男性と一緒に生活をする事になった。
私が転生した時に手に持っていた紙にはこう書かれていた。
名前 アリス
性別 女
種族 エルフ
年齢 20
自分に鑑定スキルを使ってみたらジョブ、スキルはちゃんと選んだ通りになっていた。
「君も転生してきたのかい?」
タラオはそう私に問い掛けてきた。私は「はい」と答えた。どう見てもタラオも同じように転生してきた感じだったから。隠しても仕方がない。
「ジョブは何だい?」
私が白魔術師だと答えるとタラオは深刻そうな顔をしてこう言った。
「君、死ぬよ」
この人はいきなり何を言うのだろう。まだ転生してきたばかりで何も分からないのに。それからこう続けた。
「ここは『テッサロサ』というゲーム世界。そのエクストラハードモードだ」
「なるほど……ゲーム知識を持っているパターンね」
「ん? そんなパターンがあるのか?」
タラオはラノベを読まないし、アニメも全く見ないらしい。生粋のゲーマーらしくVRMMOから戻れなくなったパターンじゃないかと言ったら
「何それ? これは普通のPCゲームだよ」だって
確かにVRMMOはラノベの世界だ。
「それより死ぬって何です? この世界で死ぬと現実世界でも死ぬのが怖いんで」
ゲーム世界での死によりリアルでも死んでしまうのを私は恐れた。まだまだやりたい事がある。
「ジョブは選択しないのが正解なんだ。それよりも君、これからどうする?」
タラオというおかしな名前の青年が問いかける。
「何処かの村に行って冒険者ギルドで登録。そして凄い活躍をして優雅に暮らす……かな?」
ラノベの常識だからね。
「ふむ……やけに詳しいな。まあそうだけど……まず、所持金が無いから村に入れない。村に入れても冒険者ギルドに登録出来ない。宿にも泊まれない」
何それ? 最初から詰んでる……
「まあ村人と上手く交渉すれば生きていけるかもしれないな。住み込むで働くとか? もしくは盗みとか?」
何この世界?
これがゲームならクソゲー確定だわ。
「普通に考えれば君は詰んでいるな」
タラオは問題無いとでも言うの?
「それはあなたも一緒でしょ?」
「いや、俺は大丈夫だ。俺は無職だから最初に訪れた村の村人になれるんだ」
「何その仕様……そんなの知らなかったわ」
「裏技っぽいが『テッサロサ』をやる人間にとっては常識だ」
よくよく話を聞けば家まで貰えるらしい。私これから野宿しないといけないの? 最悪……
「困っているみたいだから助けようか?」
「出来るの?」
「ああ……これはリア充とかアカウントを複数持っているヤツがよく使う手なんだが、俺と結婚した事にするんだ。そうすれば村にタダで入れるし、冒険者ギルドの登録も無料だ」
いきなり結婚? 騙されているんじゃない?
「単なるフリだよ。君が資金を貯めたら自由にすればいい」
「フリでいいなら……」
それからタラオと村を探した。村はすぐに見つかった。タラオは門番に軽く挨拶をした。
「タラオ、その女性は村人ではないな?」
門番がタラオ呼び止めたので私達は立ち止まった。本当に大丈夫かな……
「ああ、俺の結婚相手だ」
「お! おめでとう。凄い美人じゃないか! 上手くやったな!」
「へへ、そうだろう? という訳で中に入ってもいいな?」
「勿論だ。羨ましいな……」
門番とタラオは初対面のはずなのに前から知っているみたいな会話。
村の中に入るとタラオに頼まれた事をする。タラオは何処に自分の家があるのか知らないのだ。ゲームなら自分の家だとモニターに表示されるらしい。
一軒ずつ家に鑑定スキルを使って誰の家か確認していく。
「俺の家は何処ですか? なんて聞けないからな」
タラオの家はすぐに見つかった。1DKのボロ小屋だけど庭もある。
「へへ! 十分だぜ!」
仕切りも何もない部屋。だけど生活に必要な物は揃っているみたい。ベットは1個しかないけど。
「まずは衣食住を充実させないとな。ベットは君が使っていい」
それからすぐに冒険者ギルドへ行った。小さな村なので冒険者ギルドも小さい。冒険者ギルドでベテラン冒険者に絡まれるイベントが発生したらどうしよう……
「どうした? 何か挙動不審だぞ?」
どうもかなりキョロキョロしていたらしい。イベントの事を言ったらタラオに笑われた。
「ここの村人はみんな俺の事を知っている設定になっているはずだ。俺は知らないけどな」
タラオと私は受付で冒険者登録をした。
「タラオさん、ちゃんとジョブを習得し下さいね。教会には話しておきますから早めに行って下さい」
「分かってるって。それよりこれからよろしく」
タラオは慣れた感じで話をしている。全く違和感が無い。
「よくあんな風に喋れるね?」
「ん?? これからずっとここで暮らすのにおかしな印象を持たれたら嫌だからさ。普段通りにするのが楽でいいと思うぞ」
冒険者ギルドで登録を終え、次は教会だ。タラオはジョブチェンジをして『自宅警備員』になった。
「もっと良いジョブにしたら? 自宅警備員って」
「このジョブが鉄板だ」
自宅に戻ったタラオはスキル使った。
「パンイチ!」
突然、テーブルの上に黒パンが現れた!
「フフフ……成功だ」
タラオは黒パンを半分に分けてくれた。ちなみに今日の食事はコレだけだった……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
登場人物
VRMMO『テッサロサ』世界内
タラオ(男主人公)人族 20歳
黒髪 レベル上げが好き
アリス(女主人公)エルフ族 20歳
金髪碧眼 異世界テンプレ容姿
☆ 登場人物紹介があると良いって方も居るし、無い方が良いって人も居るのが難しいですね。
詳し過ぎない紹介でいこうと思います。
追伸 2021年の春頃に書いた作品でストックもそこそこあります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます