第2話 私の彼氏
完全に見えてますね。
こんなに簡単に幽霊って見えるの?
ゆうこは頭の処理が追い付かないため
「見えてます?」
直接 男に聞いてみる事にした。
黙ったままの男の頬を一粒の雫が
零れ落ちる。
「優子ちゃん・・・。」
男はたまらずゆうこに抱き着く・・・が
ゆうこの身体をすり抜けテーブルにぶつかり
激しく転んだ。
「イタタタ。」
「大丈夫?」
「本当に幽霊なんだ。」
「それより大丈夫?」
「あー平気だよ。」
「ところであなたは誰なの?」
男は一瞬、黙ってコンロの火を止め
再び話し出した。
「俺の事、わからない?」
「うん、死んだ記憶がないの。
しかも所々と記憶が飛んでてて曖昧で。」
「俺は君の彼氏だよ。この家で一緒に
住んでたの忘れちゃったんだね。」
ゆうこは驚いた。
てっきり自分は一人暮らししていたものだと
勘違いしていたようだ。
「とりあえず、成仏の仕方もわからないし
ここに居座るね。」
男はにっこり微笑んだ。
「また 一緒に暮らせるね。」
「うん、幽霊だけど。」
こうして二人の奇妙な生活が始まった。
ゆうこは自分の背中から伸びる薄っすらと
白い物をまだ気付いていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます