第3話 蘇る記憶

ねー。ご飯たまに作りに来てくれるのはいいけど

使った物は同じ場所に戻してよね。

ああ ごめんごめん。気を付けるよ。



・・・ふと 蘇ってきた記憶。

私は幽霊のゆうこ

本当に名前が優子だったみたいで

ちょっとびっくりしました。

一緒に住んでるこの子は 斗真とうま

年は私より3歳年下で私の彼氏・・・らしい。

斗真は美容師で、私の行きつけの美容室で知り合って

斗真から告白してきて 付き合う事になった・・・

らしい。

こう考えてみると 私は記憶を結構失っているみたい。


私が幽霊で料理を作れないから今日も 

斗真が自分でご飯を作っている。

「今日は何作ってるの?」

ゆうこが台所にいる斗真の方へ近寄ると

ぎこちない手つきで フライパンを使う斗真が返事をする。

「今日の朝食はベーコンエッグにしようかなって

あとは 食パンにコンソメスープ。

あ、コンソメスープはインスタントだけど。」

「へぇ。」

「それにしても ちゃんとお願い守ってくれてるんだ。」

「えっ、何が。」

斗真が不思議そうにゆうこを見る。

「だって いつも調味料とか出しっぱなしで、

いつも私が怒ってたよなって・・・。」

少し記憶を思い出したようにゆうこは そう話すが

斗真は とぼけたような素振りで首をひねり上を仰ぎ誤魔化す。

「そうだったけな、たぶん俺も成長したんだよ。」

「そうですか、えらいえらい。」

そんな会話が続き、朝食を済ませた斗真は

仕事場に向かうため家を出る。

「行ってきます。」

「いってらっしゃーい。」

斗真が家を出てヒマになったゆうこは

ふと 気付く。

「あれ なんか背中から伸びてる。糸?紐?」

ゆうこの背中から紐のような物が家の外まで

伸びている。

気になったゆうこは ヒマつぶしでその紐を辿ってみる事にした。



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