場当たり的なファンタジー
大入道雲
第一の危機編
ぷろろーぐ
第1話 This is 転生
この世のものとは思えない不思議な空間に、この世のものとは思えないほど綺麗な少女が佇む。
シュッとした綺麗な目にキリッとした眉。緩くウェーブした髪をツインテールにしているまるで彫刻のような造形をした少女である。
少女がしなやかな指を鳴らすと、その空間が強く光り輝く。
光が治まると、少女と同い年にみえる少年が現れた。
中肉中背。目が隠れる程度の長さの髪と、猫背が合わさってどこか頼りない雰囲気を出している。
少年があたりを見回そうとするが、それを静止して少女が声をかける
「下歩良、貴方は死にました」
「死んだ・・・」
彼ーー良は、頭が追いつかない様子で、驚いている。
そして、慎重に声を出した。
「あ、なたは?」
「私は天使。あなたは、転生させるために私が呼び出したの」
「転生・・・」
「そう。私は8個の世界を担当して、監視しているのだけれど、その内の一つにとても強い力がいくつか現れてしまった」
少女は、一度瞬きをしてまた口を開く。
「あなたには分からないだろうけれど、世界っていうのは一つの生命みたいなものなの。私やあなたみたいにね」
「だから私みたいにすごい力を持っていても別世界から好き勝手に問題を解決したりはできないの」
「すごい力・・・」
「そ、だから私が直々にその世界に行かないといけないってわけ」
「はい」
少年は心なしか背筋を伸ばす
「ただ、力っていうのは世界それぞれにルールがあって、私がこの世界で強い力を持っていたって別世界だと弱くなったりしてしまうの」
「だから私が行く世界で、すごい力を持ってる人を連れて行こうと探してたってわけ」
「あなたはすごい力がある上に、とても悲惨な人生だったわね。彼女は愚か、友達もできずにずっとひとりで生きてきた」
少年は無意識に肩に力をいれ、絞り出すように返事をする
「・・・ハ、イ」
「頭が悪いのに、いっぱい勉強してやっとそこそこの学校に入ったのにあっさりとトラックに引かれて死亡」
「・・・」
天使は優しそうな笑顔を浮かべると良に語りかける
「だからあなたを転生させてあげることにしたの」
「・・・ありがとうございます」
良が少し間を開けて顔を俯けながら言うと
「どういたしまして」
天使は、そう自慢げに答えた。
少しすると空間が、先ほどよりも強く光出す。
その光が収まったとき、もう彼等の姿はなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます