四季
薊
春
四月下旬、桜を散らす雨の降る0:00。夜はまだ肌寒く、外灯は電気が切れはじめ点滅している。風は少し冷たさを帯びてだんだん大粒になる雨は横に流れていた。
インストゥルメンタルがイヤホンから頭に流れ込む。私は今、音に殺されている。
私の作った音楽は、私の知らない誰かを支えているのだろうか。救えているのだろうか。殺せてやれているのだろうか。
イヤホンを外し外の雨の打つ音に耳を傾ける。規則的とも不規則的ともいえない音が暗い部屋にいる私を包んでいく。窓の外に見える桜の木は緑を纏い夏を待ち望んでいる。
雨が一層に強くなった。それに身を委ねて床に落ち込んだまま目を閉じた。
私は、今、雨に殺されている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます