『天国の予算編成』

やましん(テンパー)

『予算編成』

『これは、フィクションです。たぶん。』




天国地獄大蔵省(以下天地倉省)財務官付補佐人



『あ、やましんさん、本年度あなたに配分する人生予算は、緊急事態により、削減、もしくは、停止されそうです。もし、停止されると、人生は終了です、さらに、延長を望むならば、まだ、社会に役立つという、証明をしていただく必要があります。』



やましんさん


『証明? どのような、ことを?』




天地倉省財務官付補佐人 


『まあ、あなたくらいの年代ならば、勲章を頂くとか、ノーベル賞とか、自転車で北極、南極含め地球一周とか、k2の無装備登頂とか。』



やましんさん


『んな、むりです。めちゃくちゃです。だいたい、いつ決まる話ですか。』



天地倉省財務官付補佐人


『そこらあたりは、部内秘、である。しかし、さほど、先の話ではありません。』




やましん


『そもそも、それは、公平なのでありましょうか。』




天地倉省財務官付補佐人


『あなたの分際で、そのようなこと、言う資格はない。有用な人はたくさんいるが、あなたは、添え物以下である。』



やましんさん


『そう、おっしゃいますれば、まあ、そうですが。反論の余地はない。それが、世のためひとのためならば、やむを得ず。』



天地倉省財務官付補佐人


『いや、そんな、大袈裟なものではない。あなたの予算なんて、A大臣の100 万分の1にもならない。』



やましんさん


『あらあ。そんなに、違いますか。』   



天地倉省財務官付補佐人 


『そりゃ、ちがう、きみ。ぼくの、神様補佐人予算だって、そう変わらないんだから。』



やましんさん


『なんと、むごいことを。』



天地倉省財務官付補佐人


『だよね。まったく、むごい。泣けてくる。ぼくは、生きてるころは、高級官僚と言われたが、いまは、低級天使だ。』



やましんさん


『なんでまた?』



天地倉省財務官付補佐人


『ちょっと、天の政策を、批判したから。』



やましんさん


『そりゃ、あなた、だめですよ。しかし、死んでからも、そうした、差があるのかあ。』



天地倉省財務官付補佐人


『しくじりました。』



やましんさん


『まだ、きっと、チャンスは来ますよ。大丈夫。頑張ってください。』



天地倉省財務官付補佐人


『ぐすん。そうかな。なら、いいけどな。給料も安いし、ノルマもきつい。』



やましんさん


『ノルマもあるんですか?』



天地倉省財務官付補佐人


『ある。君みたいなのに、告知し、あきらめさせ、自決させるんだ。で、天国は、定員超過なんで、地獄に落とすんだ。』



やましんさん


『な、な、なんと。』



天地倉省財務官付補佐人


『あ。言っちゃった。秘密ね。延長できるか、あたるから。だめなら、ごめんね。』



やましんさん


『あら、いなくなった。あ。また、夢か。前には、地獄の使者が、勧誘に来たなあ。地獄の悩み事相談所の、所長とか。あれも、期限切れかな。それにしても、天国にも階層があるなら、なんだか、つらいなあ。地獄はもっと、大変そうだ。人間は、死んでも、階層に縛られるのかあ。』




死神ももさん


『だ、か、ら、うちなら、死者みな平等だよ。わが地獄は、死者の上に死者をつくらず。死者の下に死者をつくらず。ね。 幸子さんとこは、女王さまの独裁だし。いまなら、間に合う。やましんさんを誘いに来たのは、幸子さんとこの総務部長と人事課長なんだし。』



やましんさん


『あり、まだ、夢の中かしらあ。あんたも、勧誘にきてるんだろ。』



死神ももさん


『へへへ。ま、ね。あたしは、正直だから。人間は文字通り、人の間で測られる存在なんだ。だから、階層からは逃れられないのさ。』



 なかなか、夢から逃れられない、やましんさん、である。




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『天国の予算編成』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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