水音と叫び声

春耳蜜

第1話

息ができない。

幾度も舌を絡めて混ざり合った透明なものが、口の端から喘ぎ声とともに零れ落ちる。

熱情で頭にモヤがかかるの。


「ー早く……」


それだけ呟くと骨張った男の手を引き、自分の下着を下げさせる。

巻き下がりながら下ろした下着は糸を引いていて、雌の深く濃い湿ったにおいが広がった。

男と繋がれる部分は、もう境目がないほど潤っている。

そのまま指を入れたら淫靡な水音がするだろう。

男の衣擦れと興奮した吐息が一瞬止んで、甘美な違和感が身体を貫いた。


「んんっ……」


いたずら心なのか、焦らしたくなったのかは定かではない。指でしとどに潤ったそこを掻き回しはじめる。


「ねえっ、ダメ、ダメ、そんな激しくされたら…」


放つ言葉に被せるように肉襞を強く擦る。


「ああっ……!!」


自分でも聞いたことのないはしたない甲高い声を出しながら痙攣した。

びくびくと止まらない身体に、

心臓と同じ呼吸でひくつくいちばん深いところに、

はち切れそうな熱のかたまりが入ってきた。

ため息が出るほどに、気持ちいい。

熱い、硬い。命の塊。生命を繋ぐ器官。

もっと、もっと奥まできて。

食べ尽くしてしまいたいの。

あなたを、もっと。

もっと奥まで繋がれるよう、お尻を高く突き出す。

肉と肉のぶつかり合う原始的な、音。


ここには、生命の灯火をぶつけ合う、裸の雌と雄しかいない。

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水音と叫び声 春耳蜜 @harumimimitsu

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