episode20「精霊使いと若き皇帝」

次の日の朝、昨日帰ってきたリーンがとあるものを持っていた。


ディバイン

「精霊の卵?」


なんでも精霊達やリーンのご家族たちからの祝福としてプレゼントになり易い物を選んだらしい。


それがその一つ、精霊の卵だ。


リーン

「えぇ、精霊の卵に関しては育て方は知ってる?」


ディバイン

「おぅ、知ってるぞ。孵化するまでは一定の魔力を与えて卵から孵ったらある程度の濃くない普通の食事だよな?」


最も、精霊の育て方に詳しい講師も数年前から既に雇っていた為、精霊の卵を持っている事を聞いたらしく、詳しい育て方は来てから説明するらしい。


クリェス

「ディバイン皇帝陛下、ヴィンセント様がお越しになりました」


ディバイン

「おっ、丁度来たか。彼と暫く話し合いしてるから彼用の宿舎用意しておいてくれ」


俺が出した指示により宰相であるクリェスは了承し、その場を離れる。

後は――――


ヴィンセント・ディヴシア精霊講師

「お邪魔するぜ!若!」


タイミングを逃さず転移魔法でヴィンセント・ディヴシアが来た。

彼は人神族の人間の中で最も精霊をこよなく愛する男である。


元々は精霊魔導士として活躍していたが今のご時世精霊と暮らす事が多くなり、結果的に各国から精霊の大切さや思いやりを伝えたり、扱い方に関する講師をして動き回っていた。


ディバイン

「んで?警備との鬼ごっこはどうだった?」


ヴィンセント

「まぁまぁだな。まぁ俺がこの子等と移動してるから早々捕まる訳無いけども」


彼はそう言って掌から風の小精霊が出て来た。

一応リーンは追いかけまわしているであろう警備達に説明をしに席を外している。

その間に俺はヴィンセントと色々話をする事にした。


ヴィンセント

「―――はぁ~成程、でも俺呼ぶよりリーン様から教わった方が良かったんじゃ?」


ディバイン

「そうしたかったけどリーンもリーンで忙しいからね」


彼女は彼女なりの公務が一応あるのでそこん所忙しいのだ。


俺も手伝おうと何度も彼女の書斎に出入りするが、メイド達に軽くあしらわれている。


ヴィンセント

「ほーん、それはもしかして・・・何か隠してんじゃねぇの?」


ディバイン

「隠し事・・・ねぇ」


離宮に関しては元々は父上達と話し合いをしてリーンとの寝室から少し離れた部屋に今後生まれてくるであろう子供の部屋(※現在は赤子部屋)を設けた。


ヴィンセント

「まっ、精霊の育て方に関しては若が考えてる通りだから一定間隔で食事を与えて上げなよ」


ディバイン

お前ヴィンが来るまでに十分な食事まりょく与えたから大丈夫だよ」


さて、リーン達が必死に隠し通そうとしていた彼女の書斎の部屋を訪ねるとしよう。


リーン

『これでどう・・・かしら?』


リティ

『良いんじゃないでしょうか?!これでなら』


ディバインとヴィンセント

「「・・・・・」」


不気味な笑い声を聞こえた俺とヴィンセントは背筋が凍るような寒気を感じ、俺は書斎のドアをノックして―――


ディバイン

「あー、すまん、ちょっといいか?」


リティ

「何でしょうか?ディバイン様」


リティ、孤児として彷徨っていた所を騎士団が保護したらしく、メイド見習いとして昔からメイド長がきちんと指導していた。


今じゃ立派なリーンの専属メイドなんだが―――


ディバイン

「なっ・・・なぁ、そろそろ見させてくれよ、部屋の中を」


リティ

「仕方ないですね、どうぞお入りください皇帝陛下」


冷や汗を掻いたが・・・やっと部屋に入れさせてくれるようになって―――

・・・ん?


リーン

「・・・・・ッ」


・・・あっ、ヤバい召されそう


ヴィンセント

「若ァ?!」


程無くして、リーンの色っぽく美して魅惑的な身に纏った若干スケたほぼ肌に近いドレスを見た俺は―――鼻血を盛大にぶちまけてその場で倒れた。

――――数十分後。


ディバイン

「―――はッ!?」


リーン

「あっ、やっと起きた」


目覚めたらそこにはベッドの上で美しく魅惑的なアレ・・の姿を身に纏っているリーンを見て気を失いかけたが、リーンのキスで起きたのだ。


ディバイン

「あーそうか夜伽か・・・・」


リーン

「ごめんなさい。お義母様からプレゼントされて断れなかったからつい・・・」


彼女はそう言って顔を赤らめてそっぽを向く。

あぁ、だから俺に見られたく無くて書斎の鏡台に仕舞って隠し通そうとしてたのか。


リーン

「リティからも何度もせがまれてね、そ・・・それで仕方無く」


だからなのか、俺を部屋に招き入れたのは・・・


ディバイン

「あっ・・・そう言えばリーンの書斎―――」


リティ

「それなら大丈夫ですよ、皇帝陛下」


冷たい水が入ったティーポットとティーカップをお盆に載せてリティが入って来た。


ディバイン

「まさかぁ~」


そのまさかである。

ヴィンセントが、他のメイドと共にリーンの書斎の片付けをしていたのだった。


ヴィンセント

「おう、大丈夫か?若」


ディバイン

「リーンの応急処置お陰で何とかね」


俺がそう言うと、ヴィンセントがホッとした顔で


ヴィンセント

「そうかい、そら良かった。あー、後やっぱり精霊に関してはリーン様から教わりな!俺が来たところで意味無かったしよ」


ディバイン

「おう、そうするよ。ドルス、ヴィンセントを丁重に送ってやってくれ」


俺は新しい執事―――ロックの母上の実家で元々扱き使われていた彼を引き取って俺とリーンの専属として働いて貰う事にした。


ドルス・シュルデン執事

「畏まりました。荷造りが出来次第に送りします」


俺とリーンは早速寝室に戻り―――


ディバイン

「後で湯浴みを念入りにしよう」


リーン

「えぇ、そうね」


後は御想像の通り、食事の時間になるまで暫く激しかったです。

えぇ、とてつもなく。


一方、ロック達は―――


ロック

「来週から剣魔大会か・・・カースは大丈夫か?」


カース

「勿論、剣技の部門では負けませんからね、そろそろディバイン兄上に知らせが届くと思うんだけど・・・」


寮のホールにて交流をしていた。


そこにシェノンとヴィーナが来た。


シェノン

「私達も参加する事にしたわ、ロック」


ヴィーナ

「私は剣技の女子の部で参加する事にしたから後の応援もよろしくね、カース」


4人揃って当日はどうしようか話し合いをした結果―――


ディバイン

「・・・で、開会式の宣言のついでに特別枠出場と・・・んまぁ、俺もやってみたかったし全力で手加減するから良いぞ?」


ロック

『有り難うございます、兄上。そう言って頂けると自分としてもうれしい限りです』


来週の休日に剣技と魔法を併せた大会、剣魔大会について通信用の魔道具で話し合っていた。


カース

『そう言えば、義姉上もご参加する予定は?』


ディバイン

「あぁ、リーンも参加するらしいぞ?」


話し合いを終え、そのまま通信が切れて終わった。


ディバイン

「激しく動いたけど・・・大丈夫か?」


リーン

「大丈夫よ、・・・と言うかあなたはあれだけ激しく動いたのに何でそんなピンピンなのよ」


リーンが呆れる程に俺は寝室での一件の後、すっかり血行も良くなり、今まで以上にスッキリした感じが出ていた。

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