07_語り|地底人タンポポ

よいしょ、っと。

そんな声が聞こえて振り向いたら、

『今まさに地中からい出ました』

みたいな顔でふわりと咲く、黄色い花がそこにあった。


見つめても何も言わないし、当然ピクリともしない。

春風のイタズラかと、笑って立ちく。


仕事を終えての帰り道。

なんとなく気になって公園に寄ってみると、

そこにはタンポポが1本もなかった。




===

2019.10.19 作/2021.06.15 改

タンポポの咲いて蒔いてサイクルは恐ろしく早いです。


怪談風に読んでもいいですし、日記のように普通に読んでもいいと思います。


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