シンと僕とアレックス

   シンとアレックス


 僕の付き合っている彼女の家には、まだ小さな仔猫が飼われていた。

 名前をアレックスと言ったが、彼女は、”アル”と呼んでいた。

 「なぁ、シン、僕は、猫が嫌いとかではないんだけど、なんだか苦手なんだ。だから、彼女の家に行くのも二の足を踏んでしまう。このままじゃぁ、嫌われるかなぁ?」

 「何を言っているんだい。彼女は君を好きになったんだよ。

 それに遊ぶのなら、この家を使えばいいじゃないか?

 家に行きにくかったら、彼女が帰る時に、彼女の家の前に送るだけでも、気分は違うと思うよ。」

 「そうだよね、うん、きっと大丈夫だよね。」

 その日も、彼女と僕の家で、映画を見たり、ゲームを楽しんだりしていたが、彼女の帰る時間が来て、「今日は、そろそろ帰るね。」と言い立ちあがった。

 「うん、今日も、楽しかった。それから今日のゲームは負けちゃったけど、今度はリベンジするからね。」

 「僕も楽しかったよ。でも、あの調子じゃ僕には勝てないよ。」

 「このっ!勝つったら勝つの!」

 「ははっ、そういうとこ好きだよ。」

 僕にそう言われ、照れながら彼女が帰ろうと玄関に向かうと、

 僕は、「たまには、家まで送るよと言っていた。

 「えっ、どうしたの?」

 「いいから、いいから。」と言いながら、2人で外に出た。

 帰る道中、彼女の家の最寄り駅から、少し歩いたところで、交通事故にあってしまった。

 警察の聴取もあり、保険会社からは、相手の過失割合100%との事だった。慰謝料も少し貰った。

 怪我は、右足の骨折で、全治3か月だった。

 シンは、「すまない、僕が余計な事を言わなければ。」と言われたが、「シンのせいじゃないよと僕は言った。

 入院当初は、治療専念で、安静だったが、少しずつ平行棒を掴んでの歩行訓練や、補助をして貰いながらの可動域の拡大の訓練のリハビリも始まっていった。

 彼女は、毎日お見舞いに来てくれていた。

 かいがいしく身の回りの世話もしてくれた。

 僕は、「毎日じゃぁ、疲れるだろ、駅も逆方向だし、たまには、ゆっくり、自分の時間も作ってよ。」

 と言うと「何言ってるの。今、している事が自分の時間だよ。だから、気にしないで。」

 「ありがとう、でも、無理だけはしないでね。」

 リハビリの甲斐があり、1か月位で退院して、自宅療養になった。

 彼女は毎日今度は、家に来てくれるようになった。しかも、出来るだけ長い時間居てくれるようになっていた。

 しかしその後、このままではお互い不便だろうという事で、彼女の家に泊まるようになった。

 彼女は、「出来るだけ、アルは近付けないようにするね。」と言ってくれていた。



   僕とアレックス


 僕の付き合っている彼女の家には、まだ小さな仔猫が飼われていた。

 名前をアレックスと言ったが、彼女は、”アル”と呼んでいた。

 僕は猫が大好きで、アルもすぐになついてくれた。

 滅多な事が無い限り、僕は彼女の部屋で会っていた。

 その日も、彼女の家で、彼女と、アルと、まったりした時間を過ごしていた。

 帰る時間が来たので、「今日は、そろそろ帰るね。」と言い、立ちあがった

 うん、今日も、楽しかった。あと、いつもアルを見ていてくれてありがとう。」

 「僕も楽しかった。それにアルは、僕の癒しだからね。」

 彼女は、「たまには、駅まで送るよ。」と言っていた。「えっ、どうしたの?」

 「いいから、いいから」と言いながら、2人で外に出た。

 駅までの道中、楽しく話をしながら歩いていた。

 その道中、交通事故にあってしまった。

 警察の聴取もあり、保険会社からは、相手の過失割合100%との事だった。慰謝料も少し貰った。

 怪我は、右足の骨折で、全治3か月だった。

 入院当初は、治療専念で、安静だったが、少しずつ平行棒を掴んでの歩行訓練や、補助をして貰いながらの可動域の拡大の訓練のリハビリも始まっていった。

 彼女は、時々は来てくれたが、事故は自分の責任と感じている様子で、なかなか足を運べず、何か悩んでいるみたいだった。

 僕は、「防げなかった事故なんだから、もし、気にしているんだったら、それは、違うからね。」と言った。

 リハビリの甲斐があり、1か月位で退院して、自宅療養になった。

 彼女は、「何かと不便だろうから、ある程度自由が利くようになるまで、私の家に泊まって!出来るだけ、アルは近付けないようにするね。」と言ってくれていた。

 僕は、「出来るだけ、アルを近付けて!」とお願いしていた。

 


 


 

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