end up

ますもりお

チコと私

   チコ


 今朝も、いつものように、うるさい目覚まし時計に睡眠を中断されたが、今日は、 仕事が休みだったので、二度寝をした。


 目が覚め、「おはよう、チコ。」と言いながらベッドから這い出た。


 朝は苦手だ。眠たさと闘いながら、朝食を摂った。


 またチコに話しかけた。「今日は、どの服にしたらいいと思う?」

 

 チコは、「冬も終わって暖かくなってきたから、あのコーラルピンクのスプリングコートなんてどうかな?インナーは、白のセットアップのパンツスタイルで決めるとか。」

 「いいねぇ、その案もらい!」と言って食べ終わった食器を洗った。

 

 今日は、最近行っていないショッピングがてら、街をぶらつこうと決めている。


 チコの言った服に着替え、家を出た。


 都心まで、家の最寄り駅から電車で30分位かかる。会社も都心にあり、いつもなら、時間に追われ、急ぎ足でギュウギュウ詰めの電車に乗り込み、その電車を降りてからも、また急ぎ足で会社に向かっているのだが、今日は、わざと空いている時間にゆっくり電車に乗り、席に腰を掛けた。

 いつもこうならいいのにと思い、窓から見える景色を見ながらチコと話していた。


 そうしているうちに、終点にある、都心の駅に到着した。

 電車を降り、ショッピング前にカフェに寄り、ホットカフェラテを飲みながら、チコに、なんとなくでいいからと、これからの計画を立てて貰った。


 まずは、デパートに行き、流行りの服や、小物をチェックして回った。

 それだけでも楽しかったが、何か、一点でもいいから買おうと決めた。


 チコに選んでもらい、今年流行りと言う、赤の肩掛けでスクエア型のフラップバッグを買う事にした。


 今日は、最高の休日になりそうだ。

 その後も、ひとしきり街をブラブラして、デパ地下で、チコに「今晩何が食べたい?」と聞き、海鮮丼を買って、帰りの電車に乗った。


 最寄りの駅から家までは、歩いて10分弱だった。その途中に公園があり、そこから仔猫の鳴き声が聞こえて来た。

 段ボールに入れられた捨て猫だった。


 家は、ペット可のマンションだったので、チコに「連れて帰ろう。」と言ってその仔猫を連れて帰った。



   私


 今朝も、いつものように、うるさい目覚まし時計に睡眠を中断されたが、今日は仕事が休みだったので、二度寝をした。


 目が覚め、ズルズルとベッドから抜け出した。


 朝は苦手だ。眠たさと闘いながら、朝食を摂った。


 「う~ん、今日は、どの服で出掛けようかな?」


 私は、クローゼットの一番手前にあった、コーラルピンクのスプリングコートを何気なく手に取っていた。「冬も終わり、そろそろ暖かくなってきたから、これっでいいか。インナーは、お気に入りの白のセットアップのパンツスタイルにしよう。」

 洋服を決めたら、食べ終わった食器を洗った。

 

今日は、取り立てて予定は無かったが、久しぶりに仕事以外で都心に出掛けようと、なんとなく思っていた。


 さっき決めた服に着替え、家を出た。


 都心まで、家の最寄り駅から電車で30分位かかる。

 

 会社も今から出掛ける駅と同じ最寄り駅だった。いつもなら、時間に追われ、急ぎ足でギュウギュウ詰めの電車に乗り込み、電車をおりてからも、また急ぎ足で、会社に向かっているのだが、今日は、運よく空いてる時間だったみたいで、ゆっくり座る事が出来た。そして、そのままスマホとにらめっこの時間が始まった。


 スマホに夢中になっているうちに終点にある、都心の駅に到着した。

 終点じゃなければ乗り過ごしていたかもしれない。


 電車を降り、前を歩いている人が、カフェに入ったので、私もつられるように入り、ホットカフェラテを飲んでいた。

窓際のカウンター席に座り、ボーっと行きかう人を眺めていた。「これから、どうしよう。」と思いながらカフェを後にした。取り敢えず、おしゃれなショップや、デパートをうろうろして、目に飛び込んで来た、赤の肩掛けでスクエア型のフラップバッグを衝動買いしていた。

 

 その後は、川のほとりにある公園のベンチに座って、暖かくなってきた日差しを気持ちよく浴びていた。


 夕方になり、帰ろうと思い、駅への近道になる、デパ地下を通っていたら、美味しそうな海鮮丼が売っていたので、思わず、今日の夕飯にちょうどいいと、購入し、帰りの電車に乗った。


 最寄りの駅から家までは、歩いて10分弱だった。その途中に、公園があり、そこから、仔猫の鳴き声が聞こえて来た。


 段ボールに入れられた捨て猫だった。私は、かわいそうだったが、「ごめんね。」といって、家に帰った。家はペット可なのだが、自分が猫を飼う自信が無かった。


 家に着き、今日買った荷物を片付けていると、どうしても、あの仔猫が頭から離れない。

 気が付くと、公園に向かっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る