掃き溜め。

坂口 大雲

第1話

私は、体を動かす運動は好きだが得意ではなかった。また学業も人並みにすらできない馬鹿だった。その他のことについても人並みか、平均以下の男だった。そんなわたしの人生をこのまま終わらせてしまってはいけないと思った。自分のしようもない人生を歴史の一ページにすら載らないのは、口惜しかった。なんとかして自分の生きた証を残すために小説を書くことにした。しかしながら、神は私に文を書く才能を与えてくださらなかった。なので間も無く歴史という大波に埋もれてしまう。私にとって小説を書く行為は、紙に少しでも、運命という不条理に逆らうためのささやかな犯行である。

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