第46話ニャオちゃん、帰って来ないが

46, ニャオちゃんが帰って来ない


だが、この後10月になってまた、帰って来なくなった。


心配がまた膨れ上がるが何回か帰ってこないことを経験していたので


しばらくしたらまた戻って来ると高を括っていたのである。


心配はしていたが帰って来ると思っていた。


だが、日が一日過ぎるごとに心配が付き纏い


一週間が経った頃にはどこかで事故にでもあって動けないでいるのでは


ないだろうかと思うようになっていた。


モモ子の散歩がてらあちこちに目をやりそれらしき形跡はないかと


目を皿のようにして歩いた。


果てはモモ子の後をついて歩くニャオちゃんを見ていた自転車に乗った女の人


が関心を示し誰の猫かと聞かれたことがある。


もしかしてあの人がさらっていったのではないのかと疑ったりした。


帰って来なくなってから一月が経つころ、縁側に置いてある


モモ子の餌を食べている音が聞こえてきた.


もしかしてニャオちゃんが帰って来たのかと慌てて外にでた。


白っぽい猫が餌袋の中に顔を突っ込んでいる。


そっと近づくとそれと察してか白っぽい猫が顔を上げ


私を見るとさっと縁の下に潜っていった。


「おいで」と声を掛けるがじっとして動かない。


逃げようともしない。


ニャオちぁんの代わりが来たのだろうか。


この日からこの白っぽい猫は庭に出没するようになった。


私はまた気長に手なずけることにした。


今までのニャンコちゃんやニャオちぁんはお嬢様、お坊ちゃまだったので


どこかのんびりとしたところがあった。


だが、今度の猫は白地にところどころに模様が入っている雑種であった。


すぐさま手なずけるのは無理というものであろう。


だが、遠巻きながらも庭から出て行かないのは脈がある。


ここにしばらくはいようと思っているのが読み取れる。


少し不思議を感じる。


一昨年の元旦にアメリカンショートのような猫の声を聞いて以来、


去年4月に居なくなるとすぐに後釜のロシアンブルーのニャオちゃんが居付いた。


そして今、その子が10月に居なくなったと思ったら


間をおかずに白ブチの猫が居付こうとしている。


この場所に暮らして13年。


こういう事は一度もなかった。


不思議な事としか言えない。


だがもう一つ不思議なことが起った。



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