第34話新入りの猫
34,新入りの猫
二ヤン子の幸せを願いつつ、私は少しずつ忘れるように努力した。
その手助けになったのが例の黒っぽい猫である。
ニャンコではなくニャオちゃんとよぶことにした。
やはり、きちんとした名前を付けるのには抵抗があったので
ニャオちゃんとしたのである。
少しずつ慣れてきたニャオちゃん。
時折、道端にコテッと横になって腹をさすらせたと思うと
次は近くに寄ってこない。
そうかと思うとドアを開けた瞬間に中へ入りモモ子が二階にいる間に
台所の探検を済ませミルクを飲んで立ち去っていく。
気が向くとニャオニャオと鳴いて近寄って来るが
こちらが呼ぶと警戒して近づいて来ないのだ。
ニャンコの時のように抱っこをしたいのだが
私のその欲望を満たしてはくれない。
時折、警戒心を解いたニャオちゃんが手の届く範囲内に来た時
抱きあげるのだがも少しもじっとしていない。
嫌がって身を反らし下に降りようとする。
ある時は逃げようとしたニャオちゃんを今少しと思って抱いていたら
顔を引っ掻かれてしまった。
それでも遠くには逃げないで近くにいて私の様子を窺っている。
夜は、その色のせいかニャオちゃんの声がしているのに姿が見えない。
庭にいるのを見つけたモモ子が追いかけようとしているが私の目には見えてこない。
私は再び、猫を失いたくないと思った。
ニャンコちゃんのようにいなくなる場合もあるが
黒っぽい色の為に交通事故にあう危険もある。
なるべく夜は犬小屋に入れておきたいと思った。
猫撫で声で誘ってニャオちゃんを捕まえるとニャンコちゃんの時のように
ダンボールと水と餌と砂場を入れた犬小屋に入れてみた。
だが、ニャオちゃんはそういう事に慣れていないのかすぐに出てきてしまう。
ニャンコちゃんよりも太っているように見えるのだが
犬小屋の格子の隙間をするりと抜けて出てしまうのだ。
何度か挑戦したが無駄だった。
あっという間に脱け出て私の後をついて来て家の中に入ろうとする。
まるでニャンコちゃんのいなくなったことを知っていて
代わりにいいでしょう・・とでも言っているかのようである。
もしかしたら・・・私の脳裏に変な考えが浮かんだ。
まさか、ニャオちゃんがニャンコにとって代わりたくて追い出したのでは?
そんなことはないと思ってはいる。
何故ならニャオちゃんよりもニャンコの方が強いから
喧嘩にまけるはずはないからである。
出来る事ならニャオちゃんもニャンコちゃんのように家の中に入れてやりたい。
事故にあわないように犬小屋で保護しようとしてもするりと抜けてしまうのなら
家の中に入れてやりたいがと思うが難問があった。
モモ子との関係である。
ニャンコちゃんの時は何の警戒心も持たずに家の中に入ってきたので
モモ子の方も仕方なく受け入れて来た。
が、ニャオちゃんの事は最初から気に入らないのか
庭にいるのを見ただけで追いかけまわしている。
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