第24話猫と寝るようになる
24,猫と寝るようになる
子供の頃、私は父と寝ていた。
布団の中に猫を抱いて寝ているとゴロゴロという喉を鳴らす声で
父に猫の事がばれてしまい猫は窓から外に出されてしまう。
それを私は寝たふりをして見守っていた。
いつかは朝まで猫を抱いて寝たいと思った事を今になって思い出していた。
そういえば私って猫が好きだったのかもしれないと気が付いた。
モモ子が知ったらむくれるだろう。
それからは時折モモ子の目を盗んで二ヤン子を布団の中に入れて寝た。
ニャンコは昔のようにゴロゴロとのどを鳴らして私の腕を枕に眠っている。
まるで何年も前からそうしていたように・・
朝になってふと気が付くとニャンコは私の頭の上で枕を敷き布団代わりに寝ている。
丁度私の頭を抱くようにして横になっているのである。
どうしてそんなところでそんな恰好をしているのかわからないがこれが結構困る。
私はまだ寝ていたいのにニャンコちゃんは早く外に出たいのか私を起こそうとする。
その手段が頭の毛を両手でもむようにクシャクシャにする事らしい。
それよりも早く猫としてのお仕事をしてくれないかと
気を揉んでいるのに一向にその気配がない。
一週間経ち、二週間が経った。
そんなある日、冷蔵庫の裏側でカタコトと音がした。
思い切って時間を作って冷蔵庫の裏側を掃除すると出てくる、出てくる。
冷蔵庫の下の部分から布の端切れ(趣味で裁縫をしているので端切れは沢山或る)や
パンティストッキング、インコの餌、夏ミカンの種、
お風呂用に干してあったみかんの皮やリンゴの皮、その他諸々・・・
ここが住処になっているのは間違いない。
冷蔵庫の熱で暖かいし直接、人の目や犬猫の目にも触れない。餌場にも近い。
ただ、これだけではネズミなのかリスなのか判然としない。
私の希望的観測ではペットのリスが逃げ出してここで生活していると思いたい。
私も最後に飼っていたリスに逃げられたという過去があるから思うのかもしれない。
マンションに住んでいるとき、どこかの家から逃げ出したらしいリスと
廊下でばったりあった。
近くにあった竹箒で追い詰め捕まえたら運のいいことに雄だったので
丁度、相方を亡くして雌のリスとめあわせて同じ籠の中で飼うことにした。
それから一月位経った時、ベランダに出して日向ぼっこをさせていたのだが
きちんと籠に錠をしていなかったのかリスは手に手を取って
ハネムーンに出かけたまま帰っては来なかった。
そういう経験があるので飼われていたリスが家の中に住んでいたとしても
何ら不思議には思わない。
安全な住まいと美味しい食事が充分にあるのだから・・・
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