第4話インコの桃太郎の事
4,インコの桃太郎の事
翌二日の朝もモモ子の散歩に出ようとすると猫がいた。
昨日の夜からずっと庭にいたものなのか、
一度自宅に帰ってから遊びに来たのかわからない。
散歩から帰るとモモ子が猫に気が付いて追いかけた。
まるで猫は追いかけっこを楽しむように縁の下へ逃げ、
モモ子が気づかない時は警戒しながら鉢植えの間でじっとしている。
そして私はといえばモモ子を家の中に入れると昨日のように餌で釣って猫を呼び寄せる。
昨日よりずっと早い時間で傍に寄って来る。
猫の方も愛情に飢えているかのようだ。
もしかしたら寒いのでただ温まりに来ているのかもしれない。
炬燵の代わりかな?
ひとしきり互いの心と身体を温めてから猫を下に下ろし私は家の中に入っていく。
中に入るとモモ子がクンクンと臭いを嗅いで検査をする。
何事もなかったかのように装い浮気はしていない証拠にオーバーにモモ子の身体を撫でさする。
それで満足するのかすぐに外の猫の臭いのことなど忘れてしまうようだ。
何事にも執着心のないモモ子の性格である。
おばあちゃん犬のルーシーとは正反対だ。
ついでにモモ子のことを書いておくとモモ子の名前はこの家に来る前はモモであった。
なぜ、モモがモモ子になったかといえばそのころ飼っていた
オカメインコの名前が桃太郎だったからである。
私はこの桃太郎をモモちゃんとか、桃太郎ちゃんとか呼んでいた。
桃太郎は雄だったのでいろいろと言葉をしゃべっていた。
「モモチャン、オハヨウ。モモタロウサン,コンニチハ、モモチャン、スキヨ等々である。
私がモモのことを「モモチャン」と呼ぶと桃太郎は自分のことを呼ばれたと思って
「ピー」と反応する。
庭で呼んでも家の中で「ピー」と返事してくれるのだ。
紛らわしくないようにモモの名をモモ子に変えたという訳である。
モモの方は私がモモ子と呼ぼうがモモと呼ぼうが気に留めていない風である。
でも、桃太郎の方はモモ子と呼ぶとそれは自分の名前とは関係ないと思うらしく何の反応も示さない。
という訳でモモは半年前からモモ子となった。
細かい事を気にするタイプの桃太郎と気にしないタイプのモモ子の性格の違いである。
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