第52話 異世界人「葛城慎太郎」

朝食後、正樹達は冒険者ギルドに向って行った。

ギルド支店長(バカ筋肉男)に依頼して各国の情勢を調べてもらっているのでその報告の返事期限が今日の昼なので、

その時間に合わせて冒険者ギルドに着いた。

入り口に入って受付嬢のメイに声をかけてから、メイの案内で支店長室に入っていった。

中に入ると筋肉バカ夫婦......ヒルマン夫妻が色々と仕事をしていた。


「おーい。短小のリチャード。報告を聞きに来たぞ。」


「誰が短小だああ! 俺は太いし長い物を持っているからな。マサキ。」


「そうなのよ。この人短いしそして細いし....直ぐ出るし....。マサキちゃんを見習って欲しい。私は子供が欲しいのに.....。」

何故か正樹を見ているメアリーに対して嫁達が


「「「「といいながら私達の旦那の股間を見るな!」」」」


「なあ...嫁達よ。その辺で良いから。 おいリチャード! 早く報告を聞きたい。」


「分かった....先ずは帝国からな。表向きは平穏だが裏では王位継承争いをしている最中だ。なので帝国からの開戦は今の所はない。」


「なるほどな。」


「次はここロマリアの話だが旧ナイトハイムの事件の処理で忙しいすぎて一応中立を取る宣言をしたばかりだ。」


「そうなるわな。それで魔王国は?」


「魔王国は全くっていいほど話がないのだよ。残りは獣国と武装国家の二つの情報だけど、ちょっと気になる事があってな。」


「獣国と武装国家? 気になるって?」


「先ずは獣国の方だが、亜人族とエルフ族の対立が激化しているみたいなんだよ。なんでも亜人族の族長が国王と宣言してな、エルフ族の族長は議会制で国民投票で国王ではなく大統領で良いのではっと言って対立しているのだよ? 理由は獣国をある国が侵攻しようと言われていてな。その国が最近国王が変わって武装国家になった「ガイアス」って言う話だ。」


「その「ガイアス」が獣国に攻め込もうとしている訳か?」


「そう言う事になる。あの国はマジで手強いみたいだからな。元々中立で穏健派の国であったが、5年前に表向きは国王が病死した後、ある人物が即位してから武器開発とか兵士の強化とかしてきている。裏ではその人物が国王を殺して即位したと噂話になっている....。」


「ガイアスの現国王の名前はわかるのか?」


「ああ。その国王はシンタロウ=カツラギって言って今はギレン=ガイアスと名乗っている。」


「え!」

その名前を聞いて明菜は驚いた声をあげて震えているのであった。


「どうした? 明菜?」



「....なんでもないわ....。」

(あの人は...5年前に死んでいるはず....。)


すると明日香が何かを思い出したように言うのであった。

「カツラギ=シンタロウ.....あ! 思い出した! あの葛城慎太郎じゃないのかな? 全国剣道大会の優勝者。確か別名『若き武神』って呼ばれてた気がする。」


「私も聞いた事があるわ、明日香。確か若干19歳で全国の強豪を全て一本勝ちした人でしょう? でも5年前に飛行機事故で亡くなったとネット出ていたわ。」


「うん。しかも私達の明和学園の卒業生で私、その人に憧れて明和に来たから。」

明日香が葛城慎太郎の事を話していると明菜は驚きを隠せなかった。


「あの人.....結構有名人なんだ....。」


「明菜さんも知っていたでしょう? だって明菜さんも明和の卒業生じゃない?」


「明日香....そうなのか?」


「はあ......。正樹ってこう言う事は全く知らないのね。」

明日香は正樹を見てため息をついていたのであった。


「知るわけないじゃんか。でも...その名前は俺も聞いた事がある...オタク界で有名だったはずだ。」


正樹が考えていると明菜は


「私の場合は、葛城君の事はクラスが違っていたから覚えてもいない...。」

正樹は明菜の顔を見ると青ざめているように思えたが、別の意味で思い出したのだったので明日香に「あのゲーム」の事を聞いたのであった。


「そういや。明日香。お前さ、「ファンタジー・ロマリア」は何処で聞いたのだ?」


「それわね....私の姉から聞いたの。現役大学生がすごいゲームを作ったって聞いて、私もやってみようと思ったのよ。確か名前は....ペンネームで......そう...「獅子王」だったはずよ?」


「そうか....「獅子王」で分かった。ゲーム開発の一人「獅子王」と言うのが葛城慎太郎だ。だって俺はそのゲームのテストプレイヤーをしていたらな?」


「「「ええええええええ!」」」

みどりと明菜と明日香が驚くと正樹が気になる事を言い出した。


「これは俺の憶測だが...5年前の事故で葛城慎太郎はこの『ロマリア』に何者かによって召喚された事になる。召喚者の命令で『ガイアス』を武装国家に仕上げてこの世界を支配すると思われる。理由は...葛城慎太郎を誰が召喚した思う...恐らく俺達が勇者召喚を召喚した邪女神エステリーゼのような人物がだ。そうなるとガイアスの国王....葛城慎太郎に会わないと行けないみたいだな。」

正樹はそう結論を出すとリチャードが横から入るのであった。


「おい。バカ亭主。今ガイアスが鎖国体制をして入国出来ないのだよ?」


「なんで。ガイアスの情勢を知っているのだ?」


「それはな....。あそこには以前、内通者が居てな..今は連絡が取れていないのだ。」


「そいつは誰だ?」


「確か....ジュンイチ=オカザキって言う冒険者だ。」

その名前を聞いた明菜は青ざめてポロリ声を出した。

「岡崎純一って.....。」

それを聞いたみどりは明菜に尋ねる。

「知っているの。明菜さん。」


「...いいえ。知らないわ..。」


「そのジュンイチっていう人は、今どうしている?」


「それが行方不明なんだよ。だけど、最後に言った言葉がある。」


「それ言ってくれないか?」


「最後に言った言葉は『あいつ....シンタロウを止めてくれ..』って言ってた。それよりお前達に指定依頼が来ている。依頼者は...今呼ぶから待ってくれないか?」


そう言ってリチャードは席を外して出て行くのであった。


5分後、リチャードは一組の男女を連れて戻って来た。

その男女は正樹と同じ年齢で背は両方とも170ぐらいで、しかも...エルフだった。










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