第30話 ギリオン神殿③

剣崎達が中に入っている頃、中央の広間には仁科みどり他、望月、立花、矢作、近藤、林道が周りを警戒しながら立って剣崎達の帰りを待っていた。

其処に二つの人影がみどり達に近づいて来た。


「聖女様。それと他の皆様。此処にいるのですか?」


「貴方は、シルビア王女様。何故ここに?」


「勇者様にお届け物を持って来ましたのよ。」


「剣崎君に?」


「はい。この道具と「ある物」がなかったらギリオンを封印出来ないと思いまして。それで剣崎様は何処に?」

シルビア王女は手に持っていたネックレスをみどりに見せたである。


「たった今、奥の部屋に入って行きました。」


「そうですか...。なら私も入りますね。」


「王女様。中は危険です!」


「大丈夫ですよ。剣崎様に渡したら直ぐに戻って来ますので。聖女様達は此処でお待ちになって下さいね。私の配下のベルモンテを護衛につけましょう。ベルモンテは私の執事でありますが、元騎士団長を務めていましたので大丈夫ですよ。ベルモンテお願い出来るかしら?」

シルビア王女は隣にいるベルモンテに仁科達の護衛として残るのであった。


「王女殿下わかりました。私、王女殿下専任の執事であるベルモンテが聖女様達をお守りします。」


「よろしく頼みますね。直ぐに戻ってきますわ。」

シルビア王女は奥の部屋に入っていったのだった。


...シルビア王女が入って三十分後、

部屋から悲鳴を騒音が広間まで響いて来たのであった。

みどりはそれらを聞いて不安になっていくのであった。


「明日香。剣崎君達、中に入って時間が掛かっているね。さっき悲鳴とか聞こえたよ?」


「そうね。中に何かあったのかしら?」

すると矢作が中の状況を想像して


「たぶんだけど、ギリオンを封印しているのではないのか? さっきの悲鳴、ギリオンだったりして。」


「そうだな。そうに決まっている。」

近藤は同意していた。


「おい。騒音が消えたぞ? 終わったのか?」

立花がそう答えると奥の部屋からの騒音は消えていたのであった。

その後、部屋から二人が出て来た...シルビア王女と剣崎和哉である。

シルビア王女は微笑んで、剣崎は少し雰囲気が違っているように見えていた。

出て来た二人にみどりは


「シルビア王女様と剣崎君。他のみんなは?」


『....剣崎とは誰か? ああ..この身体の持ち主か。』


『旦那様。そうですわ。』


「シルビア王女様。何を言っているのですか?」


「あらあ.....すいません。聖女様。この方こそ邪神ギリオン様ですよ。剣崎様の身体を融合しましたのよ。あと、他の皆さんはお亡くなりなりましたので、残りは聖女様達だけですわ。」


「「「「「え?」」」」」

みどり達は呆然となっていたのである。

するとシリビア王女は剣崎と融合したギリオンに


『旦那様。そろそろお城にもどりましょう。』


『分かった。そなたに任せる。』


「ベルモンテ。後は任せますよ。」


「御意!」


「皆様。此処でお別れですわ。そう...永遠にね。では」

シルビア王女はギリオンと供に消えて行ったのであった。

其処に残ったのはみどり達とベルモンテだけになって、そしてベルモンテが言った言葉が


「さて。お前達は此処で死ぬんだ。我が手によってな。」


ベルモンテが段々と姿を変化していく.....その姿は顔が獅子の頭で黒い翼を纏った化け物になって行くのであった。


「我は邪神ギリオン様の配下で死天王の一人魔将軍バイデルである。聖女覚悟!」


「ギリオンって魔神じゃないのか?」

矢作はビクビクしながらバイデルに聞いたのであった。


「魔神? 此処には邪神と魔王と大魔王しかしないぞ? 魔人は沢山いるけどな。」

バイデルはそう言うと両手の爪をクロスした...。

そして矢作の前にいた三人が細切れになっていった。


「近藤君! 立花君! 林道君!」

「近藤! 立花! 林道!」

みどりと矢作は絶叫した。


「みどり。此処から逃げるわよ!」

みどりの手を掴んだ明日香が叫ぶ。


「この野郎! ぶっ殺す! 仁科! 死んだみんなに蘇生魔法を使え!」

矢作はみどりに指示をしてみどりは蘇生魔法の準備に入る。

明日香はみどりを守る様にみどりの前に立っていた。


『ほほお。蘇生魔法か...やってみるがいい。待ってやる。』

バイデルはそう言ってその場で立っている。


「蘇生魔法「リザレクション」!」

みどりが放った光は前にいたはずの三人にむかって行くが...やがて消えて行った。


『リザレクションが蘇生魔法だと? 笑わせる。』


「なんで復活しないのだ。ゲームでは蘇生出来たはずだ....。もう無理だ...俺は逃げる!」

矢作はそう言ってこの場から逃げようとすると


『バカめ! 逃がすと思うか!』

バイデルは両手の爪をクロスして行った


「ぎゃあああああああ!」


クロスした爪から風圧が矢作に命中して矢作は細切れになっていた。


『さて。そろそろ終わりにしようか。』


「みどり! 逃げて此処は私が何とかするわ。」


「いやああ。明日香も一緒に逃げよう!」


「だめ!」


「いや。一緒に。」


バイデルは同じように両手の爪をクロスしてみどり達にクロスした風圧が襲って来た。

みどりは咄嗟で結界魔法を発動したがベルモンテの風圧で二人供吹き飛ばされて壁に叩き付けられてしまった。

壁に叩きつけられた二人は血反吐を吐き...虫の息になっていた。


『中々やりますね。まあ。これで最後です。獅子波動!』


バイデルは先ほどと同じ様に技を出してみどり達に向って放って行った。


「みどり....。」


「明日香.....。」

(もうだめ.....誰か助けて....。松風君....。)

奥から誰かが飛び出してみどり達の前に立ち、バイデルに向って技を出して来た。


「秘技『無双演舞』!」

その風圧はバイデルの風圧を消してしまったのである。

みどりは前にいる人物を見ると、其処にはみどりが言っていた人が立っていたのである。。


「大丈夫か? 仁科さんと望月さん。」


「「松風君?」」

正樹がみどり達の前に立って話していると、奥から二人の影が出て来て正樹に言うのだった。


「待ってよ! 正樹! 早いって」

明菜が正樹の所に走って来ていた。


「「え? 緑川先生。」」

みどりと明日香が驚いていると


「おい。私を忘れるなよ。旦那様」

クラリスが正樹の所へゆっくりと歩いて来た。


「「旦那様って?」」


「明菜とクラリス。遅いぞ。」


「もう、正樹のバカ...仁科さんと望月さん。大丈夫?」


「ええ。」

みどりと明日香はビックリした顔で正樹と明菜とクラリスを見ていた。


『なんだ? 貴様らは?』


「通りすがりの冒険者だ。ってお前って魔神バイゼルか?」


『我の名前を知っているのだ?』


「だってさ。前にお前を倒した事があるのでね。(ゲームでの話だけど。)」


『訳が分からない。まあいいわ。此処で塵となるがいい。』


「そうですか。こっちこそ粉々にしてやる。クラリス! そこの二人を頼む。明菜!俺に支援魔法を頼む。こいつは俺一人で十分だ。」


「「了解!」」

クラリスはみどり達の前に立ち、盾を構えた。

明菜は正樹に支援魔法とその場にいるみどり達の周りに五重結界魔法陣を出して


「正樹。こっちは大丈夫よ。速攻であの獅子みたいな奴倒してね。終わったらキスちょうだい。」


「明菜。それは私も欲しいぞ。旦那様。私クラリスも欲しいです。」


「はいはい。分かったって。じゃあ行くぞ魔神バイデル!」


『ほざけ! 害虫め!』

魔神バイデルと正樹の戦いが始まったのであった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る