第16話 ギリオン神殿攻略一週間前

正樹達が女王から『王家の墓』の調査を依頼している頃、ナイトハイム王国の王都ナイトハイム城内では異世界から召喚された剣崎和哉を含む13名の召喚者に国王のアレン=ナイトハイム15世からある場所の依頼を受ける所であったのだ。


「「勇者」カズヤ=ケンザキ他勇者パーティ全員よ。」

代表して剣崎和哉が受け答えする。

「はい。何でしょう?」


「一週間後の朝、「あの神殿」....ギリオン神殿の攻略をやっていただく。いいな?」


「はい。分かりました。」

和哉は答えると国王は、

「うむ。それでは詳しい内容を宰相であるボーゲン侯爵から説明をする。聞き逃しは絶対にしないで欲しい。いいか?」


「はい。ボーゲン侯爵様。お願い致します。」

和哉はそう返事をしてボーゲン侯爵からギリオン神殿の攻略の説明が始まる。


「それでは、説明するかのう。先ずこのギリオン神殿には魔神ギリオンが封印されている。勇者達はギリオン神殿の奥にある『神聖の間』に行き、封印されている魔神ギリオンを復活させて倒すのである。封印解除するのには勇者であるカズヤ=ケンザキの力が必要になるのだ。」


「僕しか魔神ギリオンの封印を解除出来ないのですか?」


「そうだ、ギリオンには剣によって封印されている。その剣は勇者しか取れないのだ。封印している剣の名前は聖剣『サザンクロス』...500年前に魔王討伐に勇者が使用していた剣だ。」


「!」

和哉は驚いていた。更にボーゲン伯爵は


「500年前、魔神ギリオンと勇者カイン=レオバードは今から行く所で戦い聖剣サザンクロスを使って封印した...その後封印された魔神ギリオンを囲む様に作ったのがギリオン神殿である。」


「そこに僕が行ってその剣を抜けと?」


「ああ。その通りだ。だがここ500年の間、神殿にはレベル100以上魔物が沢山発生して今は入れないのだ。そこでお前達異世界人を召喚して1年間特訓をしてもらい、今お前達はレベル100の魔物を倒せるくらいになったので、本来なら後1か月後に行ってもらうところだが急遽来週に行う事になったのだ。」

ボーゲン伯爵は渋々な顔で言うのであった。


其処に「聖女」の仁科みどりが聞くのだった。

「急遽、神殿に行く理由は何故ですか?」


「急遽神殿に行く理由は、ここ2週間の間、神殿から魔物が出て来て周辺の村がいくつか全滅になっているのだ...。一応冒険者や近衛騎士によって討伐していたが、我が国の被害が大きいのと後一週間程で王都に来る可能が出て来た。それで先手でお前達に神殿攻略をしてもらうのだ。そうすれば神殿から出てくる魔物が消えるはずであるのだ。」

ボーゲン侯爵は和哉達に頭を下げるのあった。


「我、ナイトハイム王国国王であるアレン=ナイトハイム15世からのお願いする。この通りだ。魔神ギリオンを倒してくれ。無論、お前達が無事に魔神ギリオンを倒した暁には、お前達が好きな報酬を与えてやるぞ?」

国王はそう言うと和哉が代表で

「俺達を元の世界に返して欲しい人が居れば返して欲しい。この世界に留まる人は直接交渉でお願いします。」


「分かった。お前達の好きにするがいい。だが勇者と聖女が組んでいるパーティは魔王討伐の為残ってもらうがそれでいいな? その後、魔王討伐が終わったら勇者カズヤはどうしたいのじゃ?」


「はい。僕は魔王討伐後、此処に残ります。そしてシルビア王女との結婚の許可とこの国の一部の領地を請求します。」


「良かろう。魔王討伐の件は後でいいか?」

国王は和哉に尋ねると

「はい。それでお願い致します。来週の朝、神殿攻略に行きます!」


「勇者パーティよ。よろしく頼む。では解散する。」

そして会議は終わったのだった。


和哉達は各自の部屋で明日の準備をして行くのだった。

その夜、仁科みどりの部屋で望月明日香が訪問して話をしていた。


「今日から一週間の間、国王様に頼んで私と明日香の二人一緒に寝る許可を頂いたわ。」

みどりはそう言うと


「ありがとう。みどり。助かったわ。」

答える明日香。


「明日は神殿だけど。少し早すぎない? みどり。」


「明日香。これ..何か裏があるわ。」


「裏って何かあるの?」

明日香はみどりに尋ねる。


「ねえ。明日香。ゲームでギリオン攻略ってあったかしら?」


「私は1年しかプレイしてないよ? みどりは?」


「私も明日香と同じぐらいプレイしてないわ。だけど、『ファンタジー・ロマリア』ってゲーム開始は私達が中学2年の時だったはずだから5年は経過しているわね?」


「剣崎君は? どうなのかな?」

明日香は答えるとみどりは、

「多分プレイ時間は半年ぐらいだよ? 私達より経験ないから。」


「それもそうだわ。戦闘訓練だって剣崎の指揮が悪すぎで何度か全滅になったじゃん? 其処で騎士団長がみどりに指揮をお願いしたら、戦闘が楽になったもんね...。」


「そうかな?」

そう言って照れるみどりであった。


「そろそろ寝ようか? 明日香。」


「そうね。みどり。」


「「おやすみ。」」

2人は寝るのだった。


来週のギリオン神殿攻略が、ナイトハイム王国壊滅の日になるのであった....。

その時誰もが知らないのであった。

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