月夜の晩餐

第130話



 人工島、化狩学園都市の中心に位置する武凪士学園。


 武装した人間と全自動警備機構オート・ガーディアン、そして監視カメラや探知機による昼夜問わず厳重なセキュリティで守られたこの主要施設内は学生達の安心と安全が約束されている。


 しかし


「おい」

「………」

「お前だ。そこで何をして……っ!?」


 限界があるのも事実。どんな堅牢な城砦でも崩れる時はあっさりと崩れる。


 突然姿を消した不審な人物に警備員は驚愕する。咄嗟にハウンドを握るが既に遅く、鋭い爪がその腹部を貫く。


「がっ……」

「クソッ、通信を繋げ!状況を上にしら……かふっ」


 学園都市は、通常のフォリンクリに対して強力な防御性能を持つ。


 しかし、敵はただのフォリンクリだけとは限らない。人間や亜人と殆ど見分けのつかない人型のフォリンクリ、テレサと名乗るあの少女の様な化け物だっている。


「さぁて、始めるか」


 あたり一面が血の色に染まる。一夜にして警備員はただの肉塊へと変貌してしまった。


 そして影は、静かに夜の闇に消えた。



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