第127話
「こっちよ。ついてらっしゃい」
クナイを3本、指に挟み投擲する。案の定弾かれるが、一本だけ通り抜け頭部に命中する。
バチッ
クナイには全て私の毒が塗られている。装甲はエレミュートで形成されてるわけでも無いから溶解させる事は出来ないけれど、電子回路にちょっとした障害を誘発させる。
その隙をついて大江山が2本のライローを脚部に叩きつける。
外装がひしゃげるも、切断には至らない。
「(やっぱり硬いわね。ハウンド程度じゃまともに傷すらつけられないか)」
なら。
クナイにあるモノを巻き付け、投擲する。
先程のクナイによる障害で反応が遅れたのだろう。弾かれる事なくクナイは左脚部の膝の隙間に突き刺さる。
その直後
小規模の爆発音と共に左脚部の関節が弾け飛ぶ。
「(私が使えるのは剣と暗器だけじゃないわ)」
必要とあらば爆弾だって使う。
「ぬおおおおおおっ!」
膝をついたその瞬間、私が右足を切り落とし、大江山が左腕部の関節にライローを叩きつけ、切断する。これで残った四肢は右脚部のみ。
「燕翔寺」
「はいっ!」
回避行動を取ろうとする機械人形の頭部を鷲掴みにし、燕翔寺の業火に向かって蹴り飛ばす。
「ーーーーーーーーー!!!」
大江山が必死こいて攻撃していたあの頑丈な装甲は一瞬にしてオレンジの絵の具の様に融解させられてしまう。
「………チッ」
やはりとてつもない威力。桐堂ほどでは無いが、これも将来的には十分大きな戦力になる。
「(っと、その前に)」
完全に武装を全て潰され、離脱しようとする機械人形の目の前に回り込み
「ちゃんとトドメは刺さないと、ねぇ?」
心臓部に小夜時雨を突き刺す。それに合わせて燕翔寺が首を刎ね、地面に転がった頭部を大江山が踏み潰す。
全機沈黙。オールクリアってとこかしら。
「リッパー。いや、烏川。お前、結局何が目的なんだ?」
ライローを納め、大江山はこちらを睨みつける。それに対して私は肩をすくめる。
「国の御役人さまに語るほどのものはないわ。ただ、そうね」
桐堂はアレの二の舞には決してならない。
「………この件から俺は手を引く。後はお前達の好きにしろ」
「あらそんなに簡単に引き下がって良いのかしら?」
「ふん、この件に関しては俺に一任されている。生かすも殺すも、な」
という事は何かしらの予防策はあるということか。まあここらが及第点でしょう。敵に回さずに済んだだけ万々歳。
「ま、私は最初から好きにやってるけれどね」
「チッ」
忌々しいとばかりに舌打ちする大江山。
「だが必要とあらば俺達はアイツらを全力でこの島から追放する。それだけは覚えておけ」
「はいはい」
一足先にこの場を去る大江山を見送りながらライセンスデバイスを起動させる。
「これで良いかしら?」
『はい、ありがとうございますオルカさん』
ホント、人使いが荒いったらありゃしない。
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