第111話
ドシュッ ドシュッ
「グルルルルアアアアアアアアァァァッ!」
烏川の狙撃に苛立ち始め、ひたすら暴れ回る緑鬼。
一方向からの狙撃ならそちらへ走っていけば良いが、烏川の狙撃は一回一回別方向から行われる。緑鬼程度の知能なら周囲に敵が多数存在すると誤認してもおかしくない。
そして、その巨体を必要以上に暴れさせるには相応の体力を消費する。
「オオオオッ!」
力強く誰もいない地面に拳を叩きつける。
「(なら、もう一度……!)」
廃墟の柱から飛び出し、再び緑鬼のアキレス腱を斬りつける。
「グオッ!?」
「まだだぁっ!」
そのままもう片方のアキレス腱にもロッカを突き刺し、抉る。
姿を現した僕に緑鬼は反撃しようと右腕で薙ぎ払う。しかし、勢いをつけ過ぎたその攻撃は逆に自身の体勢を崩すことになる。
「グッ!?」
アキレス腱を損傷し、踏ん張りが効かないのだろう。そのまま尻餅をついてしまう。
「倒れろ」
そしてその声と共に何かが飛来し、緑鬼の頭部に直撃する。
烏川だ。緑鬼の顔面に蹴りを放ち、その反動でそのまま飛ばずさる。
「決めなさい。桐堂」
「ああ!」
注意は完全に烏川へ向けられている。そのガラ空きの背中に容赦なくロッカを突き刺す。
「ガッ」
ロッカの出力を全開にし、コアに刃を届かせる。そして
「おおおおおおおおっ!」
そのまま全力で振り抜く。緑鬼の体は胸のあたりから頭にかけて真っ二つに両断される。
「目標、達成……!」
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