第43話
「krrrrrrrrrrrrryyyyyyyyyyyyyyyyy」
右腕のサーキュラーソーを振り上げる。
「させるか・・・!」
既に起動させていたシオンによる連続射撃で妨害を試みるも、びくともしない。
「(全く効いていない!?)」
すかさずロッカを引き抜く。が、ギリギリ間に合わない。
「……!」
メラノさんも人形を周囲に展開しようとしているが、判断が遅れている。仮に間に合ったとしても力負けするのは一目瞭然。
「くそっ、メラノさん!!!」
「っ」
その時、一筋の閃光が煌めく。
「gy!?」
突如飛来したその光は正確にその人形の心臓部分を貫く。
沈黙する殺戮担当機キリング・マタ。その光景に僕は固唾をのまざるを得なかった。
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化狩学園都市にそびえるビルの一つ、ミテック・センタービルの屋上。武凪士学園から遥か50kmの位置に男女二人組が風に吹かれていた。
「・・・・・・相変わらず、大した腕だな」
「ほめても何も出ませんよ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
敵が味方か分からないが、突如飛来した光によってキリング・マタの動きが止まる。
「(今だ!)」
ロッカの出力を全開にし、振り上げられたままのその右腕に叩きつける。青白い刃が輝き、切れ味を上昇させる。
ドズッ
鈍い音と共に右腕の膝から下が宙を舞う。その隙にメラノさんの手を掴んでドアに飛び込み、屋上から脱出する。
「はぁっ、はぁっ・・・・」
助かった。誰の仕業かも分からないが本当に命拾いした。
「ご、ごめんね桐堂くん・・・・」
「いや、大丈夫だメラノさん」
油断してしまったメラノさんだったが、普通なら当たり前だ。あんな高さから落ちて無事な機械はあまり無い。
「今は奴を倒す事に集中しよう」
「う、うん」
戦力を削る事に成功はしたが、倒せたわけではない。まだ油断は出来ない。
ギチッ、ガチョッ
「……メラノさん」
「分かってるよ……」
右腕が無くなった事でバランスがおかしくなったのだろう。ぎこちない足音が聞こえる。
そして烏川ではないことはハッキリしている。
「すーっ……はぁーっ………っ!」
深呼吸をしだすメラノさん。そして
「私に汚名挽回させて。桐堂君」
「……分かりました。では頼みます」
「うん。私が奴の動きをしっかり止めるから」
再びロッカを構える。しかし、先程出力を全開にしたせいでもうすぐエネルギー切れだ。決めるなら今しかない。
「っ!」
突然、メラノさんは自身の右手を犬歯に押し当てる。
ポタッ、ポタッと何やら液体が滴る音が。
「我が身を巡る、赤き血よ」
そして何やらボソボソと呟き出した途端、雰囲気がガラリと変わる。空気も重く、プレッシャーの様なものが全身を襲う。
「私に出来るのは、人形を動かすことだけじゃ、無い」
気づけば足元には鮮血の様な真っ赤な魔法陣が。
「(な、何だ……これは……!?)」
ガラッ
「krrrrッ、kryyyyyッ」
ドアが開き、キリング・マタが姿を現す。
「鋭き槍となり……」
「krrrrッ!」
そして何かを警戒してか、真っ先にメラノさんを狙う。しかし今度は奴の判断が遅かった。
「彼の身を貫き賜うて!」
床の真っ赤な魔法陣から突如出現した無数の真っ赤な槍たちが次々とそのボディを貫く。
「桐堂君っ!」
「ああっ!」
先ほどの閃光やメラノさんの槍に胴体を貫かれても稼働は続いている。つまり手足はもちろん、胴体に主要な部品はない。なら、狙いは一点。
「そこだっ!」
身動きの出来ないその首にロッカを叩きつける。しかし、まだ切り落とせない。が
「まだだ……!」
刃が首の半分ほど行った所で再び出力を全開にする。これで決める!
「はぁぁっ!」
そのまま勢いよくロッカが振り抜け、金属製の頭部が地面に落ちる。その瞬間、槍から脱出しようともがいていた胴体も停止する。
「目標達成、だな・・・」
ピッ、ガガガッ
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