第7話

2日目の朝。


「おはようございます、桐堂様」

「ああ、おはよう」


 教室に入ると燕翔寺が笑顔で挨拶をしてくれた。僕の胸のあたりに頭がある程小柄なせいでつい撫でたくなる。


「今日も良い天気ですね」

「ああ」


 が、家族でも親戚でも、まして彼氏でも無い相手がやったらそれはただのセクハラだ。


ん?


「うおっ!?」


 ぼさっとしているといつの間にか烏川が後ろで邪魔そうに立っていた。慌ててその場を退き、平静を取り繕う。


「おはようございます、烏川様」

「…………ええ」


 昨日の様な不気味さはもう感じられ無いが、相変わらずの無表情で何を考えているのかサッパリだ。


 今日は右手に何やら飲み物のパックを持っている。


「それは……?」

「カフェオレ」

「そ、そうか」

「カフェオレ………」


 燕翔寺が興味津々にそのパックを見つめる。そういえば僕も昔飲んだだけでこの歳になってからは飲んでないな。


「美味しいのか?」

「まあ」


「飲みたいの?」

「い、いや、別に」

「そ。燕翔寺、飲む?」

「ぅえっ?宜しいのですか?」


 何故かその様子を見て「惜しい事したな」と思ってしまった。



 僕は変態だったのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る