第2話

【フォリンクリ】


 それはある日突然人々の前に現れ、日常を奪い去っていった。

 銃などの既存の武装では太刀打ちできない彼らに対し、人々は新たに発見された謎の粒子【エレミュート】を使用する対フォリンクリ戦用武装【ハウンド】を開発。政府の"ある組織"による実戦データを取ったのち、ハウンドは量産が決定。そしてそれらを駆使しフォリンクリ達を討伐することを専門とする職業が生まれた。


 それが【ハンター】である。


 ここは【化狩学園都市かがりがくえんとし】。この国の首都圏付近の海上に新しく設立されたハンター育成やハウンド開発に特化した地域である。

 ハンター育成に力を入れているだけあって能力者と呼ばれる人々は勿論、近頃エレミュートによる影響で変異した人類、【亜人族あじんぞく】と呼ばれる人々も快く移住を受け入れており、新しい土地にしてはかなりの人口を誇る。


「学園長の挨拶。学園長、お願いします」


 呼ばれた中年の男性は頷き、壇上に上がる。


「えー、この度はご入学おめでとうございます。今日からあなた方は〜………」


 そしてここが化狩学園都市の中心部に位置する学園【武凪士学園ふなぎしがくえん】。現在はその入学式。世界中で初めて設立されたハンター育成に特化した学園である。

 体育館に直結して建設されている仮想空間を使ったシュミレーションルーム、ハウンドの調整や強化を行えるラボ。そして生徒寮の近くには広いトレーニングルームも存在する。


「全校生、起立。礼」

「……………」

「着席。……………新入生代表の挨拶。新入生起立」


 司会の声に新入生の生徒達が椅子から立つ。


「新入生代表、【烏川うかわ 暁海あけみ】」

「はい」


 今度は名を呼ばれた長い黒髪の少女が体育館のステージに向かって歩き出す。その姿は新入生代表に恥じない他とは違った雰囲気を醸し出している。


「…………」


 そんな少女と一瞬、目があった様な気がした。

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