第10話 リュース公と黄金の瞳をした黒の王アージェント

穏やかな平穏な日々が続く よく宴では 黒の王と会う・・


彼と目が合う度に 何か 不思議な感覚を覚えるエリンシア



ある夜に 黒の王 片眼、黄金色の瞳の王アージェントに呼び出された


向かう途中 柱の道で 美丈夫の長い金色の髪の男にすれ違う


男は白い服を腰で金の刺繍入りのベルトで縛り

右肩から斜めに深いワイン色のローブをかけている

長い金の髪を下から軽く縛っていた

切れ長な瞳は青・・なかなかの美丈夫

 

「え?」 白の国の方?エリンシア姫は思う


「初めまして 白の国のエリンシア姫様

私は黒の国の貴族・・リュース公と言います」


「はじめまして 白の国のエリンシアです」


「お噂はかねがね 金の髪と、とても美しい瞳をお持ちの御方だ」


不思議そうな顔をしているエリンシアの思いを察して

エリンシアと同じく金色の髪をしたリュース公は答える


「私たち一族には 何世代も白の貴族や王族の血が流れてるのですよ

私の母親は 白の王族のリリイス姫


三十数年以上前・・短い間だけ 平和条約が結ばれたのをご存知でしょうか?」


「あ、はい」エリンシア姫は ハッとして答える


「その時に使節として来たのが リリイス姫

だが条約は すぐに破られ 


当時の白の宗主は傲慢で誇り高く

先代の前の黒の王族の者と恋人となっていた彼女が戻る事を許さず


黒の王族の者とは結ばれる事のないまま・・


もともと家族で戦(いくさ)で いなかった彼女は行き場をなくし

以前にも他には 

時に戦で囚われて人質となり白の貴族の戦士と我がリュース家の姫

やはり戦で人質として囚われた白の国の姫たち・・


その時に兵士に汚されたとして 白の国には戻れずに


そのように何度も同じような事があった行き場のない白の国の者達の血が流れるリュース家に

嫁いできたのです」


話を聞き 

青い顔しているエリンシアに微笑みリュース公は続けて話をする


「ああ・・貴方様は大丈夫ですね・・

ご家族からよく便りが来ていると聞き及んでます

ちゃんと 戻れる場所がある


大丈夫 あと数年もすれば 帰れますよ

貴方の愛する人たちの元に・・」


「貴方様はあの扱いの難しい羽琴の名手だとか

いつか 機会があれば ご演奏を聴いてみたいものです」


「あ、あの有難うございますリュース公様

宴か 黒の王様のお許しがあれば 

リュース公様のお城にお伺いする事も可能かと思います」


「楽しみにしてますエリンシア姫」


「有難うございます

では 黒の王様に呼ばれてますので 失礼いたします」

頭を下げて エリンシアは立ち去った


その姿を見送り 無表情でリュース公は一人呟く


「今日は 王妃は留守・・あの姫に もしや王は・・」


そして彼もその場を立ち去った

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