『M氏へ』
やましん(テンパー)
『M氏へ』
M氏は、ぼくより10年ばかり先輩だったと思う。
温厚で、なんでも、そつなくこなしてしまう、優秀な社会人だった。
とはいえ、はっきりした一線もあり、だめなものは、はっきりだめと、上にも言い切る度胸があった。
わりに、だめなぼくを、援護してくださることもあった。
世代的なこともあり、外国による領土の干渉には、危機感を持っていたが、なにごとにも、悠長なぼくの姿勢は、その点においては許しがたかったらしい。
出世するに違いないかただったが、これからと言うところで、がんにかかり、勢いを落とさざるを得なくなった気がします。
ながく、お会いしていなかった。
5年とは言わないが10年にはならない前に、友人が病院でお見かけしたことがあると、言っていた。
ぼくにとって、あれが、最後の消息だった。
先日届いた、退職者会報で、訃報をみました。
なにもしなくて、ごめんなさい。
だんだん、そちらのほうが、多くなる。
どうか、やすらかに。
🌸 🌼 🌸 🌺 🌸
『M氏へ』 やましん(テンパー) @yamashin-2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます