第28話「ロティさんの身長」

「皆さん帽子被りましたか、日射病には気をつけてくださいよ」

『はぁい』

「あと虫よけスプレーは持ってますか? 飲み物も持ちましたか?」

『はぁい』

「携帯電話を持ちましたか? 釣り竿を持ちましたか?」

『はぁい』

「先生はちなみに鮎の塩焼きとか天ぷらとかが食べたいです」

「はぁ……っ! 騙されよった! それただ酒のアテにしたいだけやろ!」



 アンチョビ先生の見送りのあと、四人は川辺に向います。

 周囲には木や草が生い茂っています。

「すうーっ、空気が綺麗です!」

「ほんまやなぁ。なんか自然ってええなぁ」

「木漏れ日」

「って……おいっ! なんで私だけクーラーボックスと釣り竿もたされるんだよっ?」

「しゃあないやん。うちは道案内係やし、ポワレちゃんは道案内係その二やし、ロティちゃんは道案内係その三やし」

「ふむふむ……って道案内でも持てるだろうが! だいだいその二その三ってなに?」

「わ、わたし持ちますマリネ先輩」

「ロティちゃんみたいなこんな小さい子に釣り竿なんか持たせたら倒れてまうで」

「倒れるかあっ!」

「けどよう考えたらロティちゃんって身長何センチなん?」

「た、たしか入学してすぐに計ったときは138センチでしたので中学時代よりも1センチ伸びまして、お母さんにすごく褒められました……」

 デヘヘと頬を緩めるロティさん。


『アンちゃん。よく頑張りましたねっ☆』


「小学生かっ」

「小さくてもかわいい」

 ポワレさんはロティさんの頭を帽子の上からなでなでします。

「あ、ありがとうございます……」

「なんか姉妹に見えてきたわ。ポワレちゃんがお姉ちゃんでロティちゃんが妹やな」

「私が、姉……」

「そういえばポワレちゃんはご兄弟とかいるんですか?」

「姉が、ひとり」

「へぇ、わたしも姉がひとりいます。一緒ですね」

「うん、でも今日は私が姉」

「はい、お姉ちゃん」

「うん、私が姉」

「はい、お姉ちゃん」

「うん、お手」

「ミャア」

「猫やった」

 ポワレさんは上機嫌です。

 三人は楽しそうに会話を弾ませていました。


 その後ろで。

「あのさぁ〜楽しそうなのは大変構わないのですけどぉ……頼むから釣り竿とか何でもいいんで持ってくれませんか?」

『あ』

 皆さんで荷物はちゃんと分け合いました。


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