第27話「別荘とカップ焼きそば」
「おっきい別荘です……」
ロティさんとポワレさんは山中に建つ豪華な建築物に驚いています。
「好きに使ってええでぇ、ってパパが」
「お父様ありがとうございます。ありがとうございます」とアンチョビ先生とマリネ先輩が別荘に頭を下げています。
GW二日目にはじまりましたお料理部の二泊三日の旅行は快晴です。
皆さんは一度別荘の中を見学するように色々と見て回りました。
洋室が幾つかあり、和室もあります。
外には緑の庭とバルコニーにはプールもついています。
「うわぁ! これは」
その中でもお料理部の皆さんが一番興味を示したのが、ハイテクキッチンです。
「海外のキッチン、みたい」とポワレさんはひとりあちこちを点検するかのように見て回ります。興奮状態です。
「ジュレ、これオーブンも使っていいのか?」
「ええけど、後片付けだけしてなぁ」
「やったぁ! やはり持つべきものは友だよジュレ君」
「なんかあんたが言うたら友が金に聞こえるわ」
「心外だよ……ジュレ君……いや金は大事なんだけどさ、結構大事なんだけどさ、だってお金がないとこの別荘もなかったんだろ? じゃあ金が大事なんだけどさぁ……」
「あんた金、金ってけったいな。こんな別荘安いってパパ言ってたで」
「いくら?」
「さぁ……3億くらい?」
「3億!?」アンチョビ先生はクラクラとしています。
「ジュレ先輩のお家ってなにかしてるんですか?」
「なんか家とか売ってるって、あんま知らんねんうち」
「へぇ……なるほど……家を売ればお金持ちになれのですね」
「騙されるなロティ! さぁみんなお腹空いただろ? お庭で安くて美味いカップ麺食べるぞぉ!」
「なんかマリ腹立つなぁ。うちカップ焼きそばちょうだいポワレちゃん。カップ焼きそばめっちゃ好きやねんよなぁ」
「えっ……」
「どないしたんロティちゃん?」
「ジュレ先輩もカップ焼きそばとか食べるんですか?」
「ロティちゃんまで……うち泣いてくる」
お庭に走っていくジュレ先輩。
「え、そんなつもりでは、待ってくださいジュレ先輩!?」
五分後、お庭でロティさんがジュレ先輩にカップ焼きそばを食べさせあげました。
「ちゅる、ちゅる、美味いなぁ……カップ焼きそば」
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