第10話 ラブレター
それから数ヶ月が過ぎ────
「あの…すみません…」
「はい?」
一人の女子生徒が私に声を掛けてくる。
1個下と思われる。
可愛い系の、フワフワした女子生徒だ。
「…あの…久稜先輩に…これ渡して下さい…」
「えっ?」
私の視界に入ったのは封書の手紙らしいものだ。
《も、もしや…これって…ラブレター…?》
「アイツなら…あ…ごめん…彼なら居るから直接…」
「…い、いいえっ!き、緊張して…そんな…無理…あっ…」
《やだ…可愛いーー♪》
「分かった。じゃあ必ず渡しておくね♪」
「はいっ!お願いします」
女子生徒は深々と頭を下げる。
「OKーー!」
女子生徒は笑顔を見せ去って行く。
《やだ♪本当に可愛いんだけど》
そこへ────
「おや?これは…もしや…ラブレター?優華に?」
ビクッ
「まさかっ!」
「だろうな!」
ムカッ
「で?誰に?」
バンッと志伸の胸辺りに軽く叩き付けるように渡す。
「…うっ!息が…」
ベシッ
腕を打つ。
「…痛い…今度は腕が…」
グイッ
胸ぐらを掴む。
「マジ殴るよ!」
「優華ちゃん…暴力反対」
「………………」
胸ぐらから手を離す。
「手紙渡したからね!必ず返事してよ!」
「あ、ああ…」
歩き始め足を止めると振り返る私。
「志伸」
「何?」
「…ううん…やっぱいいや」
「えっ!?」
そう言うと去った。
「………………」
志伸は きっと 気に入る相手だろう
そんな気がした
2人は付き合うことになって
私達の関係は
ただのクラスメイトで
幼なじみだけの関係で
お互い別の道を歩む事になる
そして─────
「ねえ、ねえ。このクラスに、丘元 華緒理(おかもとかおり)ちゃんっている?」
「は、はい!今、呼んで来ます」
教室内の女子がざわつく。
「は、はい…あの…」
「君が手紙の子?」
「は、はい…」
「手紙ありがとう。読ませて貰ったよ。で?その返事なんだけど…場所変えようか?」
「は、はい…」
「本当、噂通りの子だね?」
「えっ?」
「あー、昨日手紙渡した女の子。アイツ、幼なじみなんだけどさ、彼女が可愛いって言ってたから。フワフワして、ギュウッとしたくなるって」
「えっ?…や、やだ…そんな…私は…」
そして────
「そこで本題なんだけど…俺、学校では、こんなだけど正直、性格違うんだ」
「えっ…?」
「多分、君、学校の俺しか見てないから、君が都合良いなら、一回出掛けてみる?プライベートの俺と」
「あ、あの…そんなに…変わっちゃうんですか?」
「まあ…人それぞれだろうけど、その後、もう一度、君の返事を聞かせてくれないかな?」
「はい。分かりました」
「じゃあ、今度出掛けようか?都合大丈夫そう?」
「あ!はい」
俺達は出掛ける約束をした。
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