第三章-3部 修正人以外の職業

 すると、能力(これからはスキルと呼ぼう)を使った瞬間、視界が暗転し、次に光を見た時には、見ている景色が門を見上げている形になっていた。

「す..すげぇ...」

 俺は思わず感嘆してしまった。

 何故なら、俺が見ている景色は門の下にできている影の中から見えるものだからである。

 そして、辺りを見るように視線を回そうとすると、木に預けている体ではなく、視線をどう移すかを頭の中で考えるだけで、視線を移す事が出来るので、周りから見れば、俺はただ木に体を預けているようにしか見えないので、とても便利なスキルだと思った。

 辺りを見渡すと、ハル兄や門の衛士さん達が装備を構えているのが見えた。

 どこか見やすい場所はあるかと門を見ていると、門の上に屋根付きの見張り台があるのが見えた。

「あそこなら上から見物出来るかも」

 俺はそう考え、見張り台の影の中に移動した。

 俺の予想は的中し、見張り台の影がぎりぎりある所から下を見渡すと、良く見える。

「もうすぐ来るぞー!」

 俺が、見物席を確保したのとほぼ同時に、そんな声がした。

 もうすぐ南の森の魔物が来るらしいので、俺は魔物が来るであろう方向を注視する。

 すると、視覚よりも先に聴覚に情報が入って来た。

 それは南の魔物であろう足音が

「ドカカッ」

 というように聞こえてきたのだ。 

馬?

 足音からして馬みたいな走り方をする魔物だと感じた。

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