第一章-2部 修正人の誕生

俺が住むこの村は、国から迫害された特別職の人達と危険視され、国から追放された一般職の人達によって数十年前に作られ、毎年のように前者の人達がこの村に来ている。

よって、この村には世界でごく稀に見る特別職の人達がたくさんいるという事だ。

そうなってくると、国や周辺国家からは危険視されて、攻撃されるのは明確である。

なので、村が出来て数年経った頃に、村にいる特別職<大賢者>や<魔物使い>、<黒魔召喚士>の人が協力して、村を多い囲む様に密林(後に<魔の森>と呼ばれる大陸最高峰の危険地帯になる)を一夜にしてそれぞれの職業柄を活かして作り上げてしまったのだ。

特に<大賢者>を持つ男(今はもう動くだけでもキツい老人だが)については村の人から聞くと「常識を超越した化物」と、各々の能力が並外れている村人からも、口を揃えて言われる程である。

そう言われるのは仕方がない事で、かの人はありとあらゆる知識と能力を持っており、神に近しい存在だからである。

そんな人だからこそ、町程の規模のこの村を

囲む程の密林を魔法一つで、一瞬にして作り上げた事には納得がつく。

こんな常識外れの老人(これからは大賢者さんと呼ぼう)とは父親の職業柄、家族絡みで付き合いがあり、俺は小さい頃子守を何度かしてもらった事がある。

その時に、俺は好奇心で特別職を授かった時の体験について聞いた事がある。

それについて、大賢者さんは語った。

彼曰く、「初めに、特別職とは何なのか教えよう。特別職とは、一つの職業につき世界で一人しかなる事が出来ない唯一無二のものだ。また、その職業を持つ者は持っていた者がこの世から去った2年後に現れる。そして、その職業を授かった瞬間、ものによっては小国を滅ぼす程の力を持つ者もおる。では、何故職業の扱い方を知るかを儂の体験を交えて教えよう。

どの職業でも、授かった瞬間に己の職業の能力の扱い方について知ることが出来る。

しかし、一般職の者は扱い方を知っても、実際に扱う事が難しい。

逆に、特別職の者は授かる際に光の中で前任者の記憶と共に己の職業について知る事が出来るので、自分はやった事がない事が何故か身体に染み付いているのだ。

また、前任者の記憶がある事により、己の職業の能力の応用の仕方も分かるからだ。

それ故に、儂のような者達は国から危険視され、国では管理出来なくなると迫害と言うより追放されるのじゃ。」と。

俺はこの話を大賢者さんに聞かされたのを思い出した。

俺は少しだけ歓喜したが、同時に不安に思った。

すると、段々と頭痛が激しくなって来て、流れ込む情報量も多くなった。

俺が頑張って耐えようとしていると、信じられない事に光の奥から、新たな2つの人影が現れたのだ。

その2つの人影は段々とこちらに近づいてきた。すると、その容姿を目視した時、俺は驚愕した。

何故なら、俺はその人影は先程の老人と同一人物だと見た瞬間に思ったが、その人影の正体は片方が中年くらいの痩せ細った男性で、

もう片方は指揮官を思わせる服装をした若い女性だったのだ。

そして、この2人も先程の老人と同じように俺を挟むかのように横を歩いて行き、通り過ぎる際に俺のかたを叩いた。

「....ッッ⁈」

それと同時に先程までの頭痛とは比べ物にならない痛みが襲って来た。

俺は流れ込んでくる大量の情報を受け止めようと、必死に意識が飛びそうなのを我慢して抗った。

だがしかし、その抗いにも限界が来てしまい、俺は意識が「ブチッ..‼︎」と音が鳴るように途絶えてしまった。


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