第123話 love the world

愛を、損得勘定に踏みにじられてしまった

哀れな女たちが、母になると

めぐの家に居る、今は猫に生まれ変わっている

元、悪魔くん。


彼も、もともと人間に生まれた頃の母がそうだった。

そのせいで、彼は魂の行き場を失い

空虚感から、暴力行為に走って

そして、死して悪魔になった。


人間だった頃、盗んだオートバイが日本のスズキ製だった事は

何かの因果かもしれない。


そう、スズキのオートバイには魂が入っていたから

彼は、それに魅かれた。


空虚な心を満たすものは、例えば機械でも良いのである。



それが、文学でもいい。



作家でも、たとえば太宰のように

心の空隙を埋めるために、神経に効く薬を買うために

(当時は禁止薬物ではなかった)小説を書いて売っていた。


それが、後で文学と呼ばれる。



ロートレックが、心と体が不自由なために

女性の絵を描き続けたりするのも


それを訴求するからであるし、鑑賞する人に

似た、心の動きがあればそれが胸を打つのだ。




若い男にとって、少女の姿は象徴的な愛である。


それは、勿論抽象的なモノで


多くの年老いた女が言うように、即物的な肉体を想っている訳では

もちろんない。



大切にしたい存在と、心を分かち合いたいだけなのだ。



それさえあれば、男は無闇に攻撃などしないものであるし


愛する存在と、その周辺を大切に守りたいと思うものだ。






そのためには、貨幣は一定の基盤に沿って不変であるべきだし

労働の対価も、従って安定であるべきなのだ。







神様たちは思う。

このまま、1950年代に戻し


安定した世の中を、この日本に与えるべきなのだろうか?

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